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「「IoT時代のイメージセンシングの変革で未来を切り拓く」」

公開

<話し手>
ArchiTek㈱ 代表取締役 高田 周一さん(左)
1964年10月27日生まれ。大阪府立阪南高校出身。長岡技術科学大学大学院修了。1989年松下電器株式会社(現Panasonic株式会社)入社。松下電器産業株式会社R&D部門。パナソニック株式会社半導体戦略センター。

<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋さん(右)
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

鮫島正洋の知財インタビュー

「IoT時代のイメージセンシングの変革で未来を切り拓く」


■ パナソニック出身のテックベンチャー

高田:デジタル家電の回路設計技術者としてパナソニックにて長年キャリアを積み重ねてきたエンジニア3名で起業しました。大企業は優秀な人材が集まりながらも、さまざまなしがらみにより思い切った開発戦略がとれませんでした。そこで、自分の能力を生かして、高品質・高性能・低コストのIoT向けIPを世に送り出したいと思い起業しました。

鮫島:貴社が開発した独自アーキテクチャIPE(IntelligentPixelEngine)の優位性は何でしょうか。

高田:私どもの画像処理IPは、画像精度・速度面での世界レベルの高性能と、ハード再利用、開発費・柔軟な改善保守性による低コスト・低消費電力を実現しています。車に搭載するPCサイズのものから、スマホやドローンに搭載するようなモバイルサイズまで幅広く対応できます。

■ 知財戦略について

高田:私どもが保有する基本特許を守るために周辺特許を出願する事が必要かどうか悩んでいます。

鮫島:パナソニックのように非常に体力のある会社であれば何百件と特許を出すことができますが、ベンチャー企業は出せても数件です。技術ベンチャー企業には効果的な知財戦略が非常に重要になります。

高田:知財のオープン化とノウハウのブラックボックス化の両面戦略が費用面からも必要か考えています。

鮫島:それは体力の小さなベンチャー企業にとっては極めて正しい戦略です。しかしその場合でも、最低2件の特許は必要です。特許データ分析の視点からきちんと評価された基本特許があれば相当会社の価値が上がります。3件目、4件目はVCから資金調達できてから考えればいいです。



■ 今後の事業計画

鮫島:NEDOの平成28年度研究開発型ベンチャー支援事業に採択されるなど技術力は高く評価されています。今後の事業進捗の鍵は、収益計画、投資計画、財務戦略になります。

高田:現在は、ユーザーにタダで使っていただき技術的な優位性を実証しています。需要が確実に見込める段階でチップ化してマネタイズしていこうと考えています。技術デューデリ(審査)でユーザー候補先メーカーから前向きな意見が得られたら、VC数社から資金調達できると思います。

鮫島:チップ化し量産していくには少なくとも3~5億円の資金調達が必要となります。CMOSイメージセンサー市場は、2020年には70億個と言われています。市場が大きいので、ベンチャー企業が一から立ち上げてIPOしていくのは相当大変だと思います。コアとして磨ききった特許を持っていれば、バイアウトという選択もあります。

高田:日本の半導体ベンダーは、自らがリードしてチップを量産化する力が弱くなっています。国内では量産化が厳しい場合にはアメリカでの事業連携や展開も視野に入れています。

鮫島:現在の日本では大企業がイノベーションを起こすことは難しい状況です。従来技術に比べて処理速度が速く、コストも安い貴社の画像処理技術には、必ずマーケットニーズがあると思います。「イノベーションを生み出す」主体となって大企業とうまく連携し、「イノベーションの事業化」の促進に貢献していただきたく思います。本日はありがとうございました。


―「THE INDEPENDENTS」2017年6月号 P24-25より

ArchiTek株式会社

住所
大阪府大阪市西区北堀江1-1-29四つ橋MT長谷ビル2階
代表者
代表取締役 高田周一
設立
2011/9/29
資本金
100,000千円
従業員数
事業内容
IoTエッジ側のAI・画像処理ハードウェア(半導体設計開発)
URL
https://architek.ai/ja/business-home-jp