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「「デジタルサイネージを通じて『顧客の困った』を解決するサービスを提供」」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
サイバーステーション株式会社
代表取締役社長 福永 泰男 氏(写真)
1974年、石川県生まれ。1993年金沢高校卒業後、上新電機子会社の三共ジョーシンに入社。1998年、サイバーステーションの前身のドリームワークスを創業。2000年、サイバーステーションを設立、代表取締役に就任。

【サイバーステーション株式会社 概要】
設 立 :2000年5月11日(創業1998年10月)
資本金 :80,000千円
所在地 :石川県金沢市鞍月四丁目187番地
事業内容:デジタルサイネージ事業、IDC事業
URL :http://www.cyberstation.co.jp///

<特別対談>これからのIPOスタイル

「デジタルサイネージを通じて『顧客の困った』を解決するサービスを提供」


デジタルサイネージで情報の見える化を目指す

小原:導入実績は金融機関が50%以上を占めていますが、オフィスや製造業の現場での利用も伸びていますね。
福永:工場内にはスマホは持ち込めず、もちろんパソコンも使えません。パソコンがない環境の職場に社内コミュニケーションツールとしてデジタルサイネージを導入することで、共有すべき情報を「見える化」することができ、生産性も向上します。
小原:現在の収益モデルは、①機器売り、②設置/カスタマイズ、③自社STBの販売、④保守/クラウドサービスですが、ハードとサービスをセットで展開すると売上拡大が狙えると思います。
福永:ソフトウェアの開発はハードメーカーにはできない分野です。お客様のニーズを引き出してソフトウェア開発をしてきた経験を活かして、様々なコンテンツを開発し業界毎のパッケージ化を進めていきたいです。
小原:売れる商品を作るにはパートナーを上手に使うことも必要です。
福永:2013年に大塚商会と「スマートデバイス向けコンテンツ配信ソリューション」で協業を開始しました。大塚商会社内に当社の担当部署を作っていただき、マーケティングも共に行うなど親密な関係です。現在100社ほどのパートナーと連携しておりまして、当社にとっては大きな財産になっています。

ソフトウェア開発会社からの第二の創業

小原:起業のきっかけを教えてください。
福永:上新電機子会社の法人営業担当として、トップクラスの販売実績をあげていましたが、インターネットが普及しはじめた1990年代後半、「だれでも簡単にインターネットを使えるようにしたい」という思いから起業しました。
小原:アイ・オー・データ機器の細野社長との出会いがデジタルサイネージ事業への転機になりました。
福永:2006年、同じ金沢に本社を置くアイ・オー・データ機器と資本提携を結び、STBのファームウェア開発を担ったことが、ハードウェアとインターネットを組み合わせた「デジタルサイネージシステム」の開発に結びつきました。これがきっかけで北國銀行への導入につながりました。
小原:デジタルサイネージを本格展開するために、ソフトウェア開発から撤退されたことは勇気ある決断でしたね。
福永:2000年の設立以降、ソフトウェア受託開発で業績を伸ばしてきましたが、クライアントの要求も厳しく朝まで仕事を続けることもざらでした。社員の一人が倒れたことで「人が幸せにならなくてどうする」と思い、当時売上が6億円あった受託部門から撤退しました。

今後の事業展開

小原:自社内でコンテンツを開発する余力がなければ、M&Aという手もあります。現在、社員は20名ですが、開発会社や販促会社を買収して一気に人を増やすと成長スピードが加速すると思います。
福永:業態転換して間もないこともあり、今は自社のスタッフだけでしっかり仕事を回して、足元を固める時期だと考えています。次のステップでは、アウトソースを活用していきたいです。
小原:本社のある金沢にはソフトウェア受託会社が多いので、アウトソース先には困らないかもしれませんね。
福永:金沢は金沢工業大学や北陸先端科学技術大学院大学など理系の大学が多く、高等教育が盛んな地域です。人口40万人に対して学生が4万人もいます。また、金融機関の対応もよく、チャレンジする人を応援する気風があります。
小原:デジタルサイネージを通じた「情報の見える化」で、金沢から日本そして世界に貢献できる企業を目指していただきたいと思います。


<対談を終えて>

小原:デジタルサイネージ事業は、古くて新しい事業です。2000年前後では、液晶パネルとそれを動かすソフトが新しかったのですが、今やコンテンツ内容や、販路開拓が事業の鍵となっています。その意味で、貴社が顧客に応じたコンテンツをいかに早く開発し、利益の大きい直販を拡大するかが、今後の課題となるでしょう。既にその開発も拡販にも目途がたっているとのこと、事業の拡大が大いに期待できると思います。

福永:デジタルサイネージは、以前からあった商品ですが、時代が進み手軽に購入できる様になってきました。さらに用途開発が進めることで「必需品」にできると当社は信じています。当社は、現代社会の課題である情報統制や共有という視点でデジタルサイネージを進化・用途開発を進め、社会の情報基盤の必需品として活用されるよう成長して参ります。この度は、数多くの皆様からご意見をいただき勉強になりました。ありがとうございます。

※「THE INDEPENDENTS」2017年6月号 - p22-23より