「「外国人が日本に来てよかったと思ってもらえる社会を目指す」」
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<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明さん
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)
<話し手>
株式会社グローバルトラストネットワークス
代表取締役社長 後藤 裕幸さん(写真)
1978年熊本県生まれ。1997年私立熊本学園大学付属高校卒業。2000年中央大学法学部在学中に起業し、オンラインゲーム、ファッションサイトを開設。2003年㈲ミューゲートを設立、代表取締役就任(2004年退任)。2004年㈱ミューを設立、代表取締役就任(2006年退任)。2006年当社設立、代表取締役就任。
【株式会社グローバルトラストネットワークス 概要】
設 立 :2006年7月26日
資本金 :292,000千円
所在地 :東京都豊島区東池袋1-21-11 オーク池袋ビル2階
事業内容:外国人専門の賃貸保証サービス・賃貸仲介・生活サポートほか
URL :https://www.gtn.co.jp///
<特別対談>これからのIPOスタイル
「外国人が日本に来てよかったと思ってもらえる社会を目指す」
外国人向け家賃保証事業のリーディングカンパニーを目指して
小原:貴社の主力事業である外国人向けの家賃保証事業について教えてください。後藤:外国人向けの家賃保証事業を開始してから11年目を迎えます。多言語(英・中・韓・越・尼など)での部屋探しサポートサービスや、外国人に特化した生活サポート(入居時の電気水道ガスなどの利用開始連絡等)などを強みに、業績は好調に推移しています。大学とのアライアンスに注力したことで、現在では留学生を受け入れている多くの大学に当社のサービスを導入いただいております。
小原:競合も多いのではないでしょうか?
後藤:日本人顧客とは異なる外国人専用の受入スキーム(集客、与信管理、入居・退去管理)をワンストップで賃貸管理業者様に提供しております。当初は町の不動産屋さんから始まったこの事業も今では大手不動産会社様にもご利用いただくまでになりました。多くの企業が当社のサービスをベンチマークとし、外国人向け家賃保証事業への参入を試みましたが、10年以上に渡る当社の経験を簡単に真似ることは難しいと考えています。
今後の成長戦略
小原:家賃保証事業に関しては事業基盤がしっかり固まってきました。大学とのアライアンスも奏功し、ブランドイメージも高まりました。しかし外国人市場は日本人と比較するとまだまだニッチ市場だと思います。今後の成長戦略をどのようにお考えですか?後藤:日本における外国人の3大社会問題は、「住居・仕事・通信」だと考えています。今後は、仕事と通信の分野にも注力していきます。2013年12月より外国人専門のアルバイト・就職探しサイト「GTN JOB」を立ち上げ、2015年より外国人専門の通信サービス「GTN MOBILE」を開始しました。現在、新しく来日する留学生の約15%の方にご利用いただいております。「GTN MOBILE」につきましては、口コミプロモーション戦略を徹底して行い、事業開始2年目にして保証事業に次ぐ第二の柱に成長しました。
小原:成長ビジネスがまた一つ作れましたね。海外展開についてはいかがでしょうか?
後藤:日本への留学や就労を目的とした訪日インバウンドは今後増加することが予想されます。そこで、一昨年にベトナムのハノイに100%子会社を設立し、アルバイト、住居、生活サポート、携帯電話、卒業後の就職までをパッケージにした「留学生送り出し事業」を開始いたしました。既に、現地での多くの日本語学校及び有名大学との提携が進んでおり、今年1月にはホーチミンに支店を開設しました。今後はこのモデルを他国でも展開していきたいと思っています。
株式上場に向けて
小原:株式上場に向けて注意しないといけない点がいくつかあります。一つ目は従業員・取引先・顧客からの訴訟リスクで、二つ目は残業時間や残業代未払い等の労務問題です。このようなケースに対応できるような対策をしていることを外部にアピールすることも重要です。後藤:体制作りに関しては、規程作りのコンサルティングを受けるとともに、社内運用体制の構築も進めています。また、経験豊富な弁護士事務所と契約してリーガルチェックもお願いしています。
小原:事業が伸長し、社員の数も急激に増えています。人をどうやってまとめるかも上場に向けての大きな課題です。 後藤:社員数の増加とともにコミュニケーションが希薄にならないように、社員との交流をできるだけ図るようにしています。
小原:社長の声は組織図通りにおろしても絶対に伝わりません。社長の想いを引き継いている人をどれだけ作れるかがポイントです。
後藤:来日されるすべての外国人に「日本に来て、本当によかった」と心から言ってもらいたい、という強い想いが私たちの原点です。これからも、社員一丸となって世界中の日本を目指す外国人の生活環境を支援してまいります。 小原:本日はありがとうございました。外国人居住インフラを構築してきたパイオニアとして、日本社会の国際化に貢献していただきたく思います。
<対談を終えて>
小原:外国人向けの家賃保証を確立し展開しながら、外国人にツールとしての「通信」(GTN MOBILE)を提供し、さらに「仕事」(GTN JOB)を供給するというビジネスモデルは非常にわかりやすく、投資家からも高く評価されることでしょう。また、日本政府が海外留学生の迎入れを積極的に推進している中、「留学生送り出し事業」(ベトナム・ハノイ)も各国での展開が見込め、貴社が日本のGTNにとどまらずアジア・世界のGTNへ成長することが期待できます。その中で、これからは一つの通過点として、IPOを確実に果たして、多くの外国人社員を含め世界で活躍することを望みます。後藤:おかげさまで最近の外国人ビジネスに対する評価、期待の高まりを受けてGTNへの注目度も上がってきているのを感じます。その期待に応え、しっかり市場でも評価してもらえるものにする為に成長は勿論ですが、基本的な部分もしっかりした体制作りが必要だなと思います。その点はAGSコンサルティングさんにもこれからも色々学びたいなと思います。組織作りにおいてもアドバイス頂けたのですぐに実践にうつしたいと思います。
※「THE INDEPENDENTS」2017年4月号 - p18-19より