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「京都西陣から生まれたウェアラブルIoTでグローバルを目指します」

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【三寺 歩 略歴】
1977年2月7日生。京都府立城陽高校出身。2001年 立命館大学経営学部卒業後、松下電器産業㈱(現パナソニック)入社。シスコシステムズ、SAPジャパンなどを経て、2014年9月 三ツ冨士繊維工業㈱(現ミツフジ)入社、代表取締役就任。

【ミツフジ㈱ 概要】
設 立:1954年5月6日
資本金:254,500千円
主要株主:経営陣、アトラ(株)他
所在地:京都府相楽郡精華町光台1丁目7 けいはんなプラザ ラボ棟13階F
事業内容:銀メッキ導電性繊維「AGposs」の開発・製造・販売。ウェアラブルIoT製品の開発・販売


<起業家インタビュー>

ミツフジ㈱ 三寺 歩 氏

「京都西陣から生まれたウェアラブルIoTでグローバルを目指します」


銀メッキ繊維の技術をウェアラブルIoT分野に発展させる京都西陣の繊維メーカー。
衰退する地方産業から世界へ展開する企業を目指す起業家。

■ インデペンデンツクラブ大賞グランプリ受賞おめでとうございます。

昨年2月の京都インデペンデンツクラブでの事業計画発表時には社員はわずか3名で製品の方向性や事業戦略はまだはっきりと見えない段階でした。この発表をキッカケに、金融機関やVCなど様々な事業会社との出会いが広がり、昨年8 月には東証一部上場のアトラ(株)との資本業務提携で2億円の出資と鍼灸接骨院及び介護業界等に新たな製品、サービスを提供していく事にもなりました。社員も現在15名に増え今年は福島工場建設も決まり様々なプロジェクトも進行中です。インデペンデンツクラブにはこのような機会をいただきまして大変感謝しております。

■ あらためて西陣織からウェアラブルIotの開発に至った経緯を教えてください。

1956 年に西陣織工場としてスタートした弊社は、1980年に導電性繊維と出会い用途開発を始め、導電性ネット、テープなどを世に送りだしました。1992年には米国銀メッキ製造会社と独占販売契約を提携、2002年に銀メッキ繊維の総合ブランドとして「AGposs®」を商標登録しました。2014年には関西文化学術研究都市に位置する「けいはんなプラザ」に拠点を移し、「AGposs®」を素材とした着衣型ウェアラブルを大学や大手企業と連携しながら開発しています。

■ 「AGposs®」とはどんな繊維なのでしょうか。

「AGposs®」はナイロンやポリエステルの表面に銀メッキした繊維です。従来の銀練り込み繊維やフィルム状の銀糸とは異なり、銀量が圧倒的に多く、電磁波シールド、抗菌・防臭・断熱、制電効果に優れています。フランスではBioSerenity社と共同開発した癲癇発作を事前検知できるウェアラブル衣料が医療機器承認を受けています。

■ オリジナルの着衣型ウェアラブルデバイス「hamon™」の販売が開始されました。

「hamon™」は、生体情報とシンクロする、着心地を重視した電極一体型のシャツです。銀メッキ繊維として世界トップクラスの導電性と品質を誇る「AGposs®」をシャツの内側に電極として配置し、ノイズが少なく精度の高い生体情報を取得します。取得した心電などの生体情報は、シャツに着脱可能なトランスミッタがBluetoothなどでスマートフォンに飛ばします。我々の強みは、素材からフルカスタマイズできるアプリケーション開発提案力にあります。繊維からシャツ、電子製品、ソフトウェアまで全てをワンストップで手掛けることができるのは、世界で弊社だけの技術です。現在、ウエアとトランスミッタをセットにして販売しています。

■ 実際に「hamon™」を着てみましたが、着心地がいいですね。

伸縮率が高く身体にフィットする繊維を使用していますので、このウエアを着て一日中運動したり仕事したりできます。適度な着圧度合いでないと苦しくて一日中着ることはできないと思います。

■ 「hamon™」で想定しているサービスはどのようなものですか。

取得した生体情報やデータからさまざまな解析方法を使い、さまざまな分野で市場参入を想定しています。①健康管理(睡眠時に着用するだけで、生体情報や加速度から睡眠の質を計測し健康管理を促します)②従業員見守り(ドライバーの眠気や疲労をリアルタイムで検知し休息を促すことで安全管理を行います)、③介護・福祉(離れて暮らすご家族の安心を見守るサービスで高齢化に向けた課題を解決します)、④医療(ウェアラブルを使った未病や発作予知を目指します)などで、顧客ニーズにあったウェアラブルデバイスを提供していきます。

■ 本日はどうもありがとうございました。最後に今後の事業展開について教えてください。

いまはコストの関係で電極は一か所ですが、ハイエンドの医療にも対応できるように全身のデータを取れるようにしていきたいです。また、いろいろな業態の企業との協業による実証実験を進めていきます。スマホアプリやクラウドサービスとデータを連携させ、それに基づいてアルゴリズムの開発も行っています。ウェアラブルのソリューションをやりたいと思った企業様に、いち早くミツフジの仕組みを使っていただけるようなさらなる量産体制も構築していきたいです。

※「THE INDEPENDENTS」2017年3月号 - p4-5より

<過去の記事はこちら>

鮫島正洋の知財インタビュー ウェラブルIoTのトップ戦略(ミツフジ株式会社)

【企業紹介】ミツフジ(株)「伝統産業をウェラブルIoTに発展」


ミツフジ株式会社

住所
京都府相楽郡精華町光台1-7けいはんなプラザ ラボ棟4階
代表者
代表取締役 三寺 歩
設立
1979年3月
資本金
2億400万円
従業員数
23名
事業内容
銀めっき導電性繊維AGposs®(導電性繊維を用いたウェアラブルIoTトータルソリュ ーション事業)
URL
https://www.mitsufuji.co.jp/