「ベンチャー企業や中小企業のための新たな資金調達手段が誕生!」
=$DATE?> 公開
【柴原 祐喜 略歴】
カリフォルニア大学、明治大学大学院卒。システム開発、経営コンサルティング会社を経営。日本クラウドキャピタルを創業し日本初の第一種少額電子募集取扱業として株式投資型クラウドファンディングサービスを開始する。
【㈱日本クラウドキャピタル 概要】
設 立:2015年11月26日
資本金:115,000千円
主要株主:経営陣、パートナー企業他
所在地:東京都品川区東五反田5-25-18 ENZO五反田6F
事業内容:第一種少額電子募集取扱業務、FUNDINNO(ファンディーノ)の運営業務
<起業家インタビュー>
㈱日本クラウドキャピタル 柴原 祐喜 氏
「ベンチャー企業や中小企業のための新たな資金調達手段が誕生!」
日本初の株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINO(ファンディーノ)」の運営。
ベンチャー企業の資金調達環境の改善を目指す起業家。
■ 昨年10月、第一種少額電子募集取扱業者(関東財務局長(金商)第2957号)に第一号として登録されました。
海外の事例をとことん研究し、準備に2年以上費やしました。日本のクラウドファンディングはアメリカのJOBS法を基にしいるのですが、その理解度の深さが評価されたと思います。また、もともとシステム開発会社を運営していましたので、システムの構造を自分たちで把握した上で説明できたこともポイントだと思います。■ 株式投資型クラウドファンディングの仕組みを教えてください。
非上場株式の発行により、インターネットを通じて資金を集める画期的な仕組みです。2015年5月に施行された改正金融商品取引法により整備されました。中小企業の資金調達手段としては、いままでは金融機関からの融資などがメインとなっており、個人投資家から出資を募るには一部の企業を除いては難しいのが現状でした。株式投資型クラウドファンディングが解禁されたことで、事業者はインターネットを通して、最大1億円までの出資を幅広く募集できるようになります。従来の購入型や寄付型と違って、株式投資型は資金提供者に対して金銭的な見返りを前提としております。また、株主になるということは、より強固なファンになるということですので、下支えをしてもらうという意味で事業者にとってメリットが大きいと思います■ 投資家はどのように募集するのですか。
私どもが運営する「FUNDINO(ファンディーノ)」サイトにお申込みいただき会員登録していただきます。会員登録には本人確認はもちろん、投資経験や運用資産についての条件クリアが必要になります。12月よりインターネットを通じて現在1,600名の申し込みがありました。応募する個人投資家はキャピタルゲイン追求というよりベンチャー企業を応援したいという富裕層の方が多いのが特徴です。■ 幅広く募集を行うことで株主数が増加し、事業者にとっては管理が大変になるのではないでしょうか。
1社あたりの投資家1人あたりの個別払込額は年間50万円以下で最大200名となります。 弊社サイト「FUNDINO」上に、事業者毎の専用管理ページを設けております。そこでIR情報に関して適時開示を行うと同時にメールも一斉送信する仕組みになっておりますので、株主管理のコストを減らすことも可能です。なお、年次システムIR費用として60万円/年の手数料をいただく予定です。■ ベンチャーキャピタル(VC)とは競合しませんか。
スタートアップやアーリーステージの会社にまずはクラウドファンディングを使っていただきたいです。その後、事業計画が進捗し次のラウンドになった際の引き受けてとしてVCを考えています。今後VCとの業務提携を積極的に進めていく予定です。■ クラウドファンディング事業を行うと思ったのはなぜですか?当社を設立したきっかけを教えてください。
革新的な技術やサービスは、当然のことながら類似のサービスがなく投融資の判断まで時間を要します。そのため大手金融機関様より投融資を実行してもらう場合は、期間を有するケースがほとんどです。しかし、その間もキャッシュアウトが続き、成長の機会を失う場合が多いと考えます。実際に当社もそうでした。そうした、機会損失をなくすためには、現行の資金調達環境を変える必要があります。上場企業に限らず、未上場企業も市場からスピーディーに資金調達ができる環境が必要であると考え、株式投資型クラウドファンディングを立ち上げました。■ どんな会社を取り扱う予定ですか。
話題性のあるものはもちろんですが、従来VCが扱ってこなかった社会性の高い業種も対象にしたいと考えております。例えば、日本の伝統工芸を取り扱っているような会社は、規模的にはなかなかスケールしませんがファンがつきやすい側面があります。■ 1号案件のご予定はいつごろでしょうか。
1号案件は2月中旬頃に募集開始の予定です。第一弾では、複数社取扱いをさせていただく予定です。■ 本日はありがとうございました。最後に今後のビジョンを教えてください。
株式投資型クラウドファンディングは、資金調達以外にもメリットがあります。それは、集合知です。クラウドファンディングには、みんなで決めるという概念が存在します。案件を成約させるためには多数の申し込みがないと成約しません。つまり、市場にニーズがないと成約しないのです。そうした集合知を活用した投資判断をテーマにハーバードビジネススクールでは研究をしています。集合知と投資の専門家どちらの運用益が大きいかというテーマです。米国の「kickstarter」というクラウドファンディングの案件情報を使用した内容です。端的にいいますと集合知の方が運用益は大きいという内容でした。理由としては①成約するということは市場にニーズがあること。②デューデリジェンスが効率的に行えること。捕捉しますと、この会社の代表はこんな人だよ、というように効率的に情報が取集できていること。③投資の専門家は圧倒的に男性の比率が多く、その方々が中心となって投資の意思決定をしているが、クラウドファンディングでは老若男女様々な意見が採り入れられていること。以上の理由で、集合知の方が運用益が大きくなる理由として挙げています。当社は、そうした特性を活用し投資判断に時間が有する案件、特に新規性が高く市場には存在しないようなモノやサービスについては市場に判断を委ね、その後株式投資型クラウドファンディングでは、対応できない大きな規模の資金調達が必要になったときに大手金融機関様からの資金調達を受けれるといった断続的ではなく継続的な資金調達環境を作りたいと考えております。※「THE INDEPENDENTS」2017年2月号 - p8-9より