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「(株)インフォコーパス、情報セキュリティ・マネジメント(株)」

公開


早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。2012年3月教授を退官。ウエルインベストメント㈱取締役会長
特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ代表理事

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基調講演は、㈱慶応イノベーション・イニシアティブの山岸広太郎社長より、慶応大学発ベンチャー支援の仕組みとOB発ベンチャー(特に1976年生まれ世代)の活躍のお話を伺い、大いに刺激を受けました。
今日は基本的な製品開発は手弁当で行い、これから飛躍を期待される壮年起業家の二人のお話を聞きました。いずれも2019年にIPOを考え、体制整備中のベンチャーですが、各社が抱えている課題について整理します。

No.724 株式会社インフォコーパス(代表取締役 鈴木 潤一 氏)

NEC、オラクル、サンマイクロとシリコンバレーでの知見を活かし、NEC時代の卓越したエンジニアと共に鈴木社長が2013年に起業しました。機械とIoTを融合したリアリティーのあるエンタープライズIoTプラットフォーム(SensorCorpus)の開発を進め、着実に導入実績が増え始めました。これから、事業拡大に入りますが、次の3点を明確にしてください。

①IoTという言葉先行時代を突き抜けるスピード

突然のようにIoT/AI/ロボットがセットで語られるようになってきた。高齢化社会の出現と働き手の急激な減少とが相まって、急速に言葉が社会的認知を受けるようになってきた。これは、多様なセンサの開発と通信手段の低コスト化、さらに統計解析技術の進化が相まって、伝統的な経営陣の焦りにも似たIoTブームとなっている。これを背景にした市場拡大スピードに対応できるのは、過去のリニアモデルを持たないベンチャーが当面はリードする可能性がある。市場の倍速スピードで駆け抜けていただきたい。

②自社の優位性をユーザーにとってより明確に

センサメーカーは多い。しかし、自社のセンサ技術を中心に、他社の多様なセンサを活用したIoTプラットフォームを構築し、サービスを提供することは困難である。当社のセンサやゲイトウェイ等のデバイス・データ・ユーザーの管理とデータの可視化・通知・制御・分析というプラットフォームは、センサメーカーではないから可能であるといえる。早く・安価な導入事例を、Win-Winパートナーと共に、縦連携と業種・業態を超えた横連携で積み重ねていただきたい。

③知財戦略のクローズとオープン

多くの業界・業態を経験した卓越した経営チームで、現在のプラットフォームを開発してきたが、参入障壁を高くするためのハード・ソフト両面での知財戦略ストーリーとWin-Win連携上クローズとオープンを明確にすると同時に、カスタマイズ支援のためのエンジニアの確保が不可欠である。


No.725 情報セキュリティ・マネジメント株式会社(代表取締役 佐々木 賢司 氏)

IHI出身の碓井優氏が、1981年に設立したコスモエイティの一号社員として入社した佐々木社長が、93年日本アルテミスを設立し、子会社として04年サーバ運用管理会社を設立した。その後日商エレのPOPCHAT事業を譲り受け、現在国内唯一のWi-Fi認証ベンダーにまで、進化させて現在に至っている。独自の認証エンジンを搭載した高性能Wi-FiゲートウェイサーバをEMSで製造し、2,000社超の構築事業者の販売網を活用し、エリアオーナーに、365日24時間の運用保守サービスを提供している情報ファブレスベンチャーである。

①Wi-Fi後進国日本で、インバウンドの追い風を

当社は、認証ゲートウェイサーバ、認証エンジン技術供与、暗号ゲートウェイサーバを提供し、ホテル、大規模商業施設や自治体などに導入されている。現在、国内唯一の認証ベンダーであり、Wi-Fi後進国日本でインバウンドの追い風もあり、導入が加速している。インバウンドでは、多言語対応が不可欠であり、多言語エンジンを活用しながら、キャリアWi-Fiを突き放し、国内圧倒的シェアをとることを期待したい。

②持たない経営の隘路はないか

POPCHAT製造メーカからスタートし、認証ベンダーとしての優位性を活かし、持たない経営による高収益モデルを確保している。製造業ではキーエンス、問屋業ではミスミがモデルである。両者の特徴は、バリューチェーンのすべての情報を把握・コントロールしていることが、「持たざる経営」の基本である。エリアオーナーへの設置については、現状では会社から出向き確認しているが、Webによる管理による効率化を期待する。

③サーバ運用から情報事業への進化

現在サーバ設置と運用サービスである。Wi-Fiでの配信サービス、サーバ経由のビッグデータ活用などは行っていない。情報事業までの事業拡大が明確になると、日本というローカル事業から海外展開までも拡大できる道が開ける。コスモエイティというプロ集団が、次々と新たな事業を手掛けたような、仕掛けを期待する。

2016年10月3日インデペンデンツクラブ月例会 東京21cクラブにて