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「㈱カルテットコミュニケーションズ、八楽㈱」

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早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。
2012年3月教授を退官後、株式会社インディペンデンツ顧問に就任。
インデペンデンツクラブ会長

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No.612 株式会社カルテットコミュニケーションズ(代表取締役 堤 大輔 氏)

堤氏は、静岡大学工学部システム工学科卒業。株式会社フリーセルにて営業職として従事し入社3ヶ月でMVPを獲得した。その後、当社の前身の個人事業を創業後、2011年に法人化し当社代表取締役に就任した。
リスティング広告運用代行、リスティング広告運用ツール(Lisket)開発・販売事業を展開し、設立3年目で8億円を超える売上を計上している。大手広告が参入できない中小企業に専門化し、少ない予算で検索連動型広告ができるシステム化を可能にしたビジネスモデルで、IPOを目指している。当社の特徴も含めた課題を整理する。
①経営チームの課題:取締役3名は、静岡大学の同期で、経験職種が「営業+技術」の最適なチームであるが、レベルの高い「管理」取締役が欲しい。
②プラットフォーム事業への展開:Lisketツールを活用し、小回りの効く広告代理店と連携し、成約時20%のキックバックをする透明性で信頼を得ている。これは、技術的に簡単な量産体制ができる仕組みによっている。マーケツールとしての認知とスピードを上げ、強固な経営基盤を築く必要がある。
③高い参入障壁のための知財戦略:技術開発の難易度が低く、営業力で急拡大するビジネスはある程度の規模になると必ず資本力のある大手が参入する。現在、若さによる勢いと名古屋という土地柄がここまで事業を順調に押し上げたといえる。Lisketの知財(特許、商標等)を含む対応を早急に検討する。

No.613 八楽株式会社(代表取締役 坂西 優 氏)

2002年早稲田大学社会科学部卒業後、2003年に渡米・独立し、2008年に帰国し、「八百万の神」(やおよろずのかみ)を崇める日本こそ、異文化コミュニケーションの原点となりうるとして、2009年八楽(やらく)を設立した。「機械翻訳+人間翻訳」により多言語コミュニケーションシステムの企画・開発・運用を事業としている。エンジェルの支援を受け、ベンチャーキャピタルからの投資も受けて、IPOを目指している。当社の特徴を含め課題を整理する。
①WorldJumperからYarakuZenへの事業展開:世界の若者言語のデータベース事業を機械翻訳で実践するツールとしたBtoCビジネスが軌道に乗らず、企業コミュニケーションツールとしてBtoBビジネスYarakuZenに事業構造の転換を図り確実に企業顧客を積み重ねている。ただし、顧客のリピート率アップ、顧客社内への浸透率等まだまだ提案力不足である。
②異文化コミュニケーションを体現している社内体制:設立以来10カ国を超える言語を扱っているため、当社事業に興味を持つ外国人比重が極めて高い。社内のモチベーションの高い一枚岩体制と、社外の「人間翻訳」ネットワークの質の向上を常に心掛ける。
③人工知能を活用した翻訳品質の向上:BtoBビジネスは、BtoCと比較して圧倒的に翻訳品質が重視される。社内のドキュメントのグローバル化と共有化には標準化が不可欠であり、人工知能を活用した翻訳品質の向上が貢献している。日本企業のグローバル化は加速している。さらなる飛躍を期待したい。