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「「地方発世界に~クールジャパンをどう売り込むか~」」

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株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)
代表取締役社長 太田 伸之 氏

1953年生まれ。1977年に明治大学経営学部を卒業。1985年東京ファッションデザイナー協議会設立。株式会社イッセイミヤケ代表取締役社長、株式会社松屋常務執行役員、内閣官房知財本部コンテンツ戦略会議専門委員(小泉内閣~麻生内閣)など要職を歴任。2013年11月株式会社海外需要開拓支援機構代表取締役社長就任。

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7月24日開催の「インデペンデンツクラブ上期会員総会」にて、株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)の太田伸之社長に講演いただきました。

・プロジェクトは政策的意義のある「日の丸」か?

・その旗手は誰か特定でき、情熱を持っているか?

・事業計画から、その旗はたなびくと判断しているか?


投資検討をおこなう際、この3条件を満たしているかを常々議論している。そして、特に力を入れているのが「地方企業の支援」。国民の皆様のお金を預かる官民ファンドとして、地方活性化は創設時からのDNAである。北海道庁や九州経済連合会との業務提携をおこない、地銀との連携も進めながら、地方案件を積極的に手がけていこうと投資チームに発破をかけている。本日は「地方発世界に~クールジャパンをどう売り込むか~」をテーマに、当機構の取り組みについてご紹介したい。

■ 長崎発日本茶カフェを米国に展開

2015年4月、当機構では株式会社マエタク(長崎県長崎市)と長崎県の企業を中心とするコンソーシアムとともに、米国における長崎県発「日本茶カフェ」事業に取り組み、当該事業に対する約2.6億円の出資を決定した。当機構からマエタクに要請したことは2点。ひとつはカッコよく魅せること。日本茶のスターバックスを目指そうということを共有した。もうひとつは「チーム長崎」で展開すること。カステラで有名な文明堂が新しいスイーツを考案し、器には当地名産である波佐見焼を採用、カフェ内で販売する商品も地域名産品で揃えた。単なる日本茶の提供に留まらず日本の文化を体験できるような店舗となっている。かなり時間をかけて議論し、ようやく実現した地方案件の理想的な姿であり、「地域発世界へ」のモデルケースとして期待を寄せている。

■ 「博多一風堂」欧米豪への進出を支援

2014年12月、「博多一風堂」を展開する株式会社力の源ホールディングス(福岡県福岡市)に対し、欧米豪においてラーメンをはじめとする日本食の普及および日本酒などの日系飲料や食材の流通経路として高い効果が期待される店舗の出店資金や、海外において他の日系外食企業も活用できるセントラルキッチンなどの設立資金として、約7億円の出資と最大13億円の融資枠を設定し、支援することを決定した。この案件をリリースした後、「ラーメンは和食なのか」という声もあったが、和食そのものを支援することがわれわれの使命ではない。クールジャパンとは日本の技や美意識であり、ラーメンはもとより、洋菓子やウイスキーなども大いに結構だと考えている。

■ クールジャパンを世界に売り込むために

 上記2件以外にも、シンガポールに開設するジャパンフードタウンや、マレーシア・中国寧波市でのジャパンモール、また番組制作から翻訳、動画配信などコンテンツ流通を担う各社への出資もおこない、上手に連携し合いながら、単独では難しかった海外進出のサポートを手がけている。
 われわれは日本の「カッコいい」を世界に届けたい。これまで日本の商品・サービスは性能・価格面で秀でてきたが、「顔」がわからないものばかり。これではクールジャパン足り得ない。カッコよくやれること、そしてその自信が大切。地方には、われわれの目の届かない所でクールジャパン企業がたくさんあると期待している。そういった案件があれば、ぜひご紹介いただきたい。

2015年7月24日 新丸ビルコンファレンススクエアRoom901にて