「2015年上期事業計画発表会を振り返って」
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<話し手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明さん
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)
<聞き手>
株式会社インディペンデンツ
代表取締役 國本行彦
1960年8月21日生。都立志村高校卒業。1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。2006年(株)インディペンデンツ設立、代表取締役就任。
<特別対談>これからのIPOスタイル
2015年上期事業計画発表会を振り返って
活発なIPO市場と東京集中
國本:2015年6月までのIPO数は43社(東京プロ市場2社除く)とIPO市場は好調です。小原:このまま市場が崩れなければ年間IPO数は100社ほどになるでしょう。ただ昨年のgumiショックのような事もあり、新興市場には常に危うさがあると認識しています。
國本:東京本社のIPO企業数が29社と全体の2/3を占めており、東京集中も依然として続いています。
小原:IT関連企業が多い東京と、非IT関連企業が多い地方との差が出ています。
國本:証券会社やIPO関係者も東京に集中しています。
小原:東京が活況を呈するほど、VCは地方に行かない。大手VCですら地方拠点の人員配置は僅かです。
地方ベンチャーを巡る情報格差
國本:インデペンデンツクラブの上期事業計画発表会19回のうち東京開催6回、地方開催14回でした。発表企業数36社(のべ43社)のうち東京本社は僅か2社で、事業提携先や資金調達先を必要としている地方のベンチャー企業が潜在的にはもっと多いと感じています。 小原:ベンチャーやIPO関連業界においては、東京と地方の格差はますます広がっています。地方はベンチャー企業をどう育成していくのか。地域が本気で上場支援を考えなくては地方創生もありません。國本:まずは地方における資金供給機能の強化が必要だと思います。
小原:ベンチャー企業の成長には、直接金融(エクイティ)による思い切った資金調達が欠かせません。間接金融(デッド)による資金供給は機能しません。それに対する知識や経験が銀行全体になさ過ぎます。
國本:ベンチャー企業の資本政策も大きく変化しています。
小原:種類株や新株予約権、会社分割や持株会社設立による最新の資本戦略を活用において、東京との情報格差を感じます。
地方証券取引所への期待
國本:インデペンデンツクラブの上期は、四国の香川・高知、金沢(石川)や福山(広島)と新しい地域でも開催して、まだまだ地方には有望企業がたくさんあると実感しました。小原:地方も行政が音頭を取って頑張っている地域はベンチャーも元気です。今、注目しているのは福島です。地方ひとくくりではない。北海道、東北、厳しい。
國本:名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所という地方証券取引所もIPO支援に力が入っています。
小原:中京地区は経済規模の割には上場企業が少ない。ここは名証に頑張ってほしい。この地域には名証セントレックスに上場できるベンチャーはいくらでもある。
國本:札証アンビシャス市場、福証Qボードでは地元企業のIPOが刺激となって、上場準備に入る企業が増えています。
小原:地方ベンチャーが東証マザーズ基準に達するまで時期を待つ必要はありません。地方では売上20億円で十分目立ちますが、東京から証券会社は来ません。
地方ベンチャーがIPOするために
國本:地方にも地場証券会社、監査法人、IPO支援者はいます。小原:もっと強烈にIPOを指導しないと駄目です。東京には競争原理が働くので必死にならないと証券会社に相手にされません。
國本:IPOを成功させるためには経営者の強い意志が最も大切です。
小原:本気でIPOを目指すなら地方のほうが早くできる。売上10億円達成ぐらいで安心してはいけない。
國本:最近、地方からの若い起業家が増えていると感じています。
小原:地方のベンチャー企業には優秀な人が多い。福山の備後IPOクラブでは、先輩上場経営者が中心となって起業家の上場を応援しています。もっと真剣にIPOを目指す起業家が増えてほしいと思います。