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「㈱キュービクス、㈱ミトラ」

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早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。
2012年3月教授を退官後、株式会社インディペンデンツ顧問に就任。
インデペンデンツクラブ会長

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No.576 株式会社キュービクス(代表取締役 丹野 博)

(1)薬事承認を得て広く人間ドックや健康診断の検査に採用
従来の健康診断では発見困難であった消化器系のがんを、マイクロアレイ検査で、初期がんを発見でき、かつ部位判定の的中率が極めて高い。人間ドック等に広く活用されるためには、薬事承認が不可欠である。ただし、これに時間を要するので、健保組合の費用拡大に頭を悩ましている大企業の特定役職者から、マイクロアレイ検査を適用する等、ユーザー側からの声を挙げさせることが必要である。通常の癌ドックでは発見できなかったがんが、当検査で陽性と出て、精密検査の結果初期がんで、その場で治癒切除できた症例を、もう少し積み上げる必要がある。

(2)薬事承認専門家の多い広域基幹病院を持つ大学との連携
医師主導臨床性能試験を行い、対外診断用医薬品・薬事承認をPMDAに申請するための体制を、名古屋大学先端医療臨床研究支援センターの協力を仰いで進めている。現在臨床治験が、社長の営業エリア先であった病院に限られている。薬事承認後に、人間ドック等の既存手法による市場に、マイクロアレイ検査を必ずオプションとして差し込むためにも他地域の大学・病院連携をいまから進める必要がある。

(3)検査対象領域の拡大も含む事業の更なる進化を
末梢血液細胞の遺伝子発現プロファイル解析が、消化器科の研究から出たこともあり、現在胃、大腸、膵臓等に特化しているが、同じ手法が呼吸器系がん、乳がん、泌尿器科等の検査対象領域を拡大することも可能であろう。また、検査キッドの国際標準化と海外展開等、「がんの早期発見で医学研究の実用化に貢献した」会社と評価されることを期待したい。

No.577 株式会社ミトラ(代表取締役 尾形 優子)

(1)産婦人科向け医療ITシステムの企画開発と大手の競合
産婦人科の電子カルテ「ハローベイビープログラム」を日本で初めて開発し、1号システムを、日本を代表する総合医療機関である千葉県の亀田総合病院に納入することができた。最も医療IT化が進んでいる病院であったので、当システムの理解が早く、受注は苦労しなかったそうである。先行して地域基幹病院などに販売し、他の機器やシステム、すなわち超音波診断装置・PACS・集中分娩監視システムと連携に注力してきたので、大手ベンダーとの競合は厳しくなるが、十分戦えるとのことである。

(2)産婦人科病院過疎地域のインフラ事業へ
産婦人科病院に限ってみると、まだ紙カルテのままが多い。地方の過疎地域には、産婦人科病院のない地域も多い。ここでは、助産婦との連携で、遠隔医療ネットワークを支援している。大手がコスト的にも参入が困難な地域に、地域密着型サービスチャネル体制を築き、先行し、逃げ切って欲しい。地方創生の再生は、「よそ者、若者、ばか者」の力を借りる必要がある。新生児の誕生なくして地域の活性化はないので、現在多くの支援体制を活用できる。また、地域基幹病院とは異なる、ビジネスモデルで収益を確保しようとしている。

(3)乳幼児死亡率の高い海外への事業展開
日本の出生率は2%近くになるためには、数十年先の話である。しかし、人口増加の著しい国々は多い。ここでの乳幼児死亡率は日本の50倍である。医療システム水準の低い東南アジアや南アフリカに現在事業展開している。海外進出には、ジャイカ等を活用し、2年後には収支償うことを目標に進出している。日本の過疎地域での遠隔医療ノウハウを活用できる。また、現在日本の文化を世界に理解していただくためのクールジャパン機構が、国策として支援を始めている。ストリート開発やモール建設を行っている。このような施設には、妊婦支援の電子カルテ「ハローベイビープログラム」が運営されているようになりたいものである。