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「「血液でうつ病を測る」」

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ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
代表取締役社長 菅野 隆二 氏

1973年東京理科大学工学部卒後、横河・ヒューレット・パッカード株式会社入社。横河電機株式会社、横河アナリティカルシステムズ株式会社、アジレント・テクノロジー株式会社で代表取締役はじめ要職を歴任。2008年ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社より招聘され、代表取締役社長就任。2013年12月24日東京証券取引所マザーズに上場(6090)。

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まずは自己紹介から始めると、趣味は競馬。これは学生時代からずっと。最近はヨガも始めたが、もっぱら孫と遊んでばかり。昔は鬼の菅野と言われたが、今は仏の菅野になったと思っています。ビジネス哲学は、”すべてがマーケティング、マーケティングがすべて”。

1.HMTの事業について
10年前会社設立時に、時代の先を読んだらメタボローム(代謝物)が有望だった。健康長寿社会の実現、食糧・水の確保、脱石油・エコ社会の実現など将来の社会ニーズを考えていけばバイオは有望産業。当社はCE-MS法(電気泳動による質量分析)を基礎技術として、大学・研究機関向けメタボローム解析事業で経営基盤を築き、がん研究領域での北米展開、うつ病バイオマーカー開発で成長を図る戦略です。

2.うつ病の血液検査(イノベーション)
うつ病の患者数は国内約100万人、世界3億人と言われているが、問診が中心で早期対応を難しくしている。自殺の3分の1がうつ病と言われているが、問題の深刻さは本人の職場での生産性の低下ばかりではなく、他の人への影響が大きい点。大うつ病の優れた治療薬は存在するので、内科医でも的確な診断と治療で完治できる。それを解決するのが代謝物(血液)からうつ病を診断する「バイオマーカー」の開発。HMTでは、一般財団法人聖マリアンナ会東横惠愛病院と株式会社保健科学研究所との間で大うつ病性障害検査委託契約を締結して、血液からうつ病を測れるバイオマーカーの開発を進めている。

3.上場実現の要因
上場の成功要因は何と言っても、山形県、鶴岡市による慶応義塾大学先端生命科学研究所への長期的な支援があったからこそ。鶴岡メタボロームキャンパス(TMC)に、先見性もった技術シーズ(メタボローム解析)を創り、スタート時とその後の採用も含めて、TMCからの人財にHMTは恵まれた。次に短期収益事業(メタボローム解析)と将来拡大事業(バイオマーカー)を明確にした経営戦略。そして地元金融機関のサポートと上場支援会社(いちよし証券、トーマツ、宝印刷、三井住友信託)とのチームワークだ。
 
4.「鶴岡から世界を変える」~鶴岡の奇跡
一人のリーダー(冨田勝慶大教授)から連鎖的コネクションで、このビジョンにいろいろな人がHMTに参加した。当面の成功のカギは、海外展開とうつ病診断イノベーション。しかし上場はビジネス成功の一里塚に過ぎなく第1章。第2章は鶴岡からのノーベル賞。そして第3章は世界のバイオメッカであるボストンと鶴岡間の直行便の実現。慶應義塾大学メタボロミクス研究グループ、理化学研究所(メタボロミクス)、スパイバー㈱など、鶴岡はバイオの集積地になる。地方活性化モデルへの期待から、第9回日本バイオベンチャー大賞を受賞(2015年2月27日)。鶴岡の奇跡を実現し、地方活性化のモデルにしたいと考えている。

2015年5月11日東京インデペンデンツクラブ 基調講演より