「ポスト東京オリンピックに向けて」
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早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏
1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。
2012年3月教授を退官後、株式会社インディペンデンツ顧問に就任。
インデペンデンツクラブ会長
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IPO支援で経済の活性化を経済の活性化指標の一つに新興市場におけるIPO件数がある。IPOは、新市場や新技術に挑戦した起業家が、将来の成長基盤を構築し、システマティックな経営体制を整えてきたベンチャー企業であると、証券取引所が判断したことを意味する。IPO件数の増加は、市場や技術の変革期を感知し、新市場や新技術に挑戦した起業家が増加していることを意味する。逆に設立経過年数が長く、環境変化に対応できない企業の経営基盤の劣化を補完する状況ともいえる。
「一社でも多くのIPO企業を」ということをミッションに、スタートアップスのビジネスプランの発表とそのビジネスモデルのブラッシュアップ支援を行っているインデペンデンツ・クラブは、超高齢化・ハイコスト国家日本の変革期に一定の役割を果たしているといえる。
日本の経営資源の見直しを
自然信仰に近い「八百万の神」(やおよろずのかみ)を崇めるカルチャーを持つ日本人の多くは、思考体系の間口が広く、自己主張をせず、中庸を重んじるために、世界の経済戦争に後れを取っている可能性がある。このために、「地の利」「人の利」「時の利」「技の利」という経営資源を、世界の生活向上のために貢献するという意識が乏しいともいえる。
日本では最先端の技術を追い求め「技術に勝って」いるが、技術拡大期の「ビジネスに負ける」という現象にここ20年間遭遇した。戦後70年、経済的に豊かになり、成熟国家を体感している日本人が、世界の70%を占めるBOP(Bottom of the Pyramid)までに、年齢や性別に関係なく、ウィングを広げで世界貢献ができる可能性がある。
ポスト東京オリンピックに向けて
2020年に東京オリンピックを迎える。通称マッカーサー道路といわれる虎ノ門界隈を中心として、日本橋から品川までの東京の開発が急ピッチで進んでいる。3.11から3年を経過し、東北地域の復興が労働力の逼迫も含めて進まない現在、東京と地方の経済格差や高齢格差がますます拡大しようとしている。1964年東京オリンピック当時の生産労働年齢は、25歳前後から2020年45歳超になる。高品質・低価格モデルのモノづくり輸出国家から脱皮し、ボーン・グローバルベンチャーを日本の多様な経営資源を活用して簇業(草木が湧きいずるような創業)し、巨大・新興国市場で成長する新たな21世紀型モデルの道筋を5年で構築する必要がある。
空港の管理運営権の民営化(PFI事業)が新聞紙上に上るようになってきた。東京オリンピックの海外からのお客様対応に備える意味もある。大企業や行政だけでは埋めきれない多くの課題に、IPOを目指すベンチャー企業が対応することを期待する。