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「“生活者の視点“と“お医者様の声”を最も大切にして、いち早い医薬品開発を実現します」

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株式会社エヌビィー健康研究所
代表取締役 高山 喜好 氏

1967年3月12日生まれ。
札幌南高等学校卒業。
1994年3月東京大学薬学部・同大学院博士課程修了。
大正製薬㈱医薬研究所主任研究員、ハーバード医学部BHW病院フェロー(2000年~2002年)を経て、2006年7月㈱エヌビィー健康研究所を埼玉にて創業。
㈱ジーピーシー研究所(米子市)代表取締役兼任。

設 立 :2006年7月7日
資本金 :59,250千円
本 社 :北海道札幌市北区北21条西12-2 北大ビジネススプリング110号室
事業内容:呼吸器・認知症関連疾患の治療薬開発、創薬基盤技術の開発・販売
http://www.nbhl.co.jp/


新薬開発研究の初期段階に特化した創薬支援事業モデルを立ち上げる。
人々の健康に貢献したいという強い思いで、大企業から独立した起業家。


―大手製薬企業からの脱サラで起業されました。
医薬品研究開発に13年間従事する中で、臨床現場や生活者のニーズと、大手製薬企業の研究テーマとが必ずしもマッチしていないことに強く疑問を感じていました。一方で研究開発の生産効率は、様々な技術に特化した中小企業との連合や、先端的研究を行う大学との共同研究により、企業規模に拠らない時代が到来しています。そこで機動性と自由度の高い開発型の企業を目指し、人々の健康に貢献したいという思いで創業を決意しました。

―事業モデルは、創薬支援と自社研究開発の2つです。
創薬支援事業では製薬企業向けに安定した収益を上げ、3期目から単年度黒字を達成しています。一方で自社創薬研究事業では、基本特許(物質・用途)を取得して、バイオ企業、大学、化学メーカーからのライセンス料・契約金収入につなげていきます。

―事業の優位性について教えてください。
事業コンセプトは、新しい医薬品のコンセプトを創出する“創薬力”と、上市医薬品の新適応開発である“育薬力”の技術向上です。大手製薬会社時代から、呼吸器における炎症をテーマに製品開発を行っていました。最先端のゲノム創薬などのバイオテクノロジーはあくまでのソリューションの一つであり、臨床課題の本質を見抜く力、製品コンセプトこそが重要です。

―大手製薬企業による完全自前主義の開発体制が変化しています。
革新的医薬品は、バイオ企業、大学由来が欧米では過半数を占め、その傾向は今後も続きます。特許切医薬品(ジェネリック)の利用拡大、人件費等の固定費負担増、技術革新や科学的知見の急速化などが原因で、革新的新薬創出のバリューチェーンは変化しています。当社は創薬シーズ開発会社として、新薬開発のアイデア創出と新規物質の創製を担っていきます。

―世界に名だたる創薬機器メーカーとの提携協力関係を構築しています。
創業当初から“創薬力”強化のため、パーキンエルマー社(米国)などの世界最先端創薬機器を導入し、新しい医薬品開発のコンセプトを協力して生み出しています。投資額1億円は厳しかったのですが、創業7年目を経過して当社の技術基盤の中核となっています。

―自社の創薬開発テーマを教えてください。
①呼吸器疾患治療薬、②睡眠治療薬、③抗体医薬シーズの3つが主要テーマです。当社では癌や糖尿病など大手企業との競争が激しいテーマには取り組みません。また次世代のGPCR創薬に関する技術を大手企業に供与しながら、バイオ医薬(抗体)と低分子医薬(化合物)の両方のアプローチで創薬に取り組みます。

―GPCR(Gタンパク質共役受容体)の研究成果を事業化しています。
生体内には約80種の異なるGPCRが存在しており、製薬会社とっては自己免疫疾患、がん、循環器疾患などの治療薬開発のターゲットとして非常に魅力的です。しかし抗GPCR抗体の取得は非常に困難で、協和発酵キリンおよびアムジェン開発の「モガムリズマブ」しかありません。当社はGPCRを標的とする創薬のソリューションとして、機能性抗GPCR(抗膜タンパク質)抗体を開発しました。現在は、抗体医薬品開発の受託サービスや国内化学メーカーとの共同創薬開発が進行中です。

―企業理念について教えてください。
超高齢化社会を迎え、社会保障制度の健全化や国内経済の安定的成長という観点からも、健康寿命を如何に延長させるかは重要な課題となりつつあります。エヌビィー健康研究所はこうした社会の願いに対し、オリジナルシーズ開発と創薬技術アライアンスを通じて貢献していきます。

※全文は「THE INDEPENDENTS」2014年7月号 - p6-7にてご覧いただけます