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「名古屋インディペンデンツクラブ 新年交流会」

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◆創業の決意
 私は、日本NCR、オリベッティという外資系企業で営業職を経験してきました。その仕事を通して見たのは、コンピュータ社会がオフラインの時代からオンラインの時代へと急速に移行する激変の社会でした。ここに大きな商機があると感じ、またコンピュータメーカーのサプライ用品に対するサービスの悪さにお客様の不満が多く、それを補うことができればと思ったのが創業の動機でした。

 当時、私は34歳と11ヶ月でしたが、営業マンとして働ける年齢は55歳位までだ、20年がむしゃらに働くには今がタイムリミットだと起業を決意しました。
7人家族で暮らしていましたが、すでに私たち双方の父親は無く、私の母親が寝たきりの状態でしたので、家内の母親や妹も同居してもらい看病の支援をしてもらいました。2人の子供の世話もお願いし、その上にお腹には3番目の子がいました。幸い家内は教員をしていましたので事業を始めても収入がゼロになる心配はなかったのですが、乾坤一擲、どんなことがあっても潰せないと言う強い決意で挑みました。中学時代の友人6人も各10万円を出資すると言って応援してくれ、それに血が滲む思いで貯めた40万円を足して、昭和46年(1976年)6月29日、資本金100万円の会社を設立しました。

◆無我夢中で走り続けた36年
幸いにも創業8ヶ月目の1977年2月に、飛び込み営業で日本道路公団のジャーナル記録紙の入札に参加し、三ケ日ICから豊中ICまでの記録紙を落札できました。お陰様で初年度から黒字決算でスタートすることができました。
以後、企業にとって一番重要なのは資金繰りであると、お客様を金融機関に特定し、地方銀行、信用金庫、信用組合、農協、労働金庫などあらゆる金融機関を重点的に開拓していきました。主な商品はデータ処理用消耗品でした。ジャーナル記録紙、パンチテープ、パンチカード、マークカード等、紙製品が主でした。

1978年オイルショックがありましたが、そこで得たものは省資源化への時代変化でした。資源を海外に依存する日本は、資源を無駄にできないはず。必ずリサイクルの時代がくると考えました。オンライン端末機の使用済みインクカートリッジを、中身のリボンだけ新しいリボンに取り替え再利用するビジネスを思いつき、必ず喜んでもらえるはず、と製品化に挑みました。悪戦苦闘の末やっと使用に耐えられる製品が出来ましたが、それからはクレームとの戦いが待っていました。その後もお客様に助けていただきながら完成に至り、大変好評をいただくまでになりました。あるとき伊豆半島の先端にある信用金庫様で、「こんな無駄はよくない、必ず再利用してくれる会社があると信じていた」と、山のような使用済みカートリッジを見せて下さり持ち帰ったときの感動は今でも忘れられません。

1983年に名古屋中小企業投資育成会社へ出資をお願いに行きました。思い切った増資をするには、友人では応じられなくなっていました。厳しい審査に通り2000万円を出資していただき、資本金が5000万円となりました。この増資がカトー特殊計紙を大きく変え、飛躍の原動力となりました。関係先の方々の当社に対する見方が変り、社員の士気が日一日と高揚していくのがわかりました。
1990年のバブル崩壊も不況を逆にビジネスチャンスと捉え成長を続ける事ができました。

1997年、株式公開準備室を設置、国際証券(当時)を主幹事に株式公開の準備を進めていました。しかし2000年11月7日物流センターが放火で全焼してしまいました。11月20日に中間決算を迎えますが、決算書類ができず、翌年2月に控えていました株式公開を直前で止む無く延期することになってしまいました。結果的には火災の後始末や仮倉庫への移転作業など、一丸となって取り組んだことで社員の結束力が強まり、災いが転じて福となすことができました。その上、仕入先との強い信頼関係が築け、災難の年でしたが何とか増収を達成できました。

2002年、現社長の伊藤主計氏の起こされたアイテクノの株式を買い取り合併し、アイテクノ伊藤社長を当社副社長として迎えました。ホンダの元常務でした伊藤氏に、当社の経営を引継でいただくことを決意したからです。同時に社名もカトー特殊計紙からケイティケイ株式会社へ変更しました。一旦公開を延期したことで士気が落ちるのではと危惧する面もあり、社内に株式公開への不安感もありましたが、伊藤新社長の強いリーダーシップによって2006年4月、JASDAQ市場に株式公開することができました。

2009年、私は代表取締役会長を退き、今は最高顧問という立場で自由奔放に意見申し上げ、健康志向の大変幸せな人生を送っています。

◆これからの皆さまへ
創業以来、「誠意」「創意」「熱意」「先進」を社是とし、アットホームな会社作りを目指し、社員に次の時代を担う希望を持ってもらいたいと思い、家族や親族を会社に入れない経営をしてきました。

株式公開をしたことにより企業に想像もつかないようなパワーが生まれることを知りました。知名度や資金調達、優秀な社員の採用もさることながら、社員の士気の高揚、社会的信用の大きさは計り知れません。私どもは株式公開によって得た計り知れない関係者からの大きな支援を日常の経営の中で実感しながら働いています。

今年は、タブレット端末時代の幕開けと言われています。
EV自動車の時代は、想像以上に早と思いますし、環境関連のビジネスも見逃せません。
ベンチャースピリット旺盛な若い起業家に大きなチャンスがあると感じます。
ご清聴有り難うございました。

≪ケイティケイ 代表取締役社長 伊藤 主計 氏の講演レポートはこちら≫