「「IPO再再考」」
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このコラムの47回で「IPO再考」と題し、ここ数年の日本だけではない米国でのIPO=株式公開の低迷とその主原因と考えられるSOX法による規制強化の問題、それに対して昨年制定されたJOBS法によるSOX法の見直しの動きなどについて述べた。その後もIPO=株式公開に関連して日米で幾つかの動きが出て来ている。
まず日本では、低迷していたIPO市場に光が差し始めた。その背景には、安倍政権の再登場による所謂アベノミックス効果と言っていいのか、円高是正に伴う株価の急騰がある。新興株式市場も活況を取り戻しつつあり、東証マザーズ指数は、昨年の300?400のボックス相場から年末には上振れし、一時は600近くまで上昇した。
IPO会社の公募価格と初値との騰落率をみると、昨年央あたりから初値が公募価格を大きく上回る会社が数多くで始めた。その結果、昨年1年間にプロ向け市場を除く株式市場にIPOした企業数46社の平均で見ると、初値は公募価格を49%上回る結果となった。
現在もIPO市場の活況は続いており、今年に入ってIPOした3社の初値/公募価格騰落率は、いずれも2倍近くか2倍を超える値になっている。今年のIPO社数は60?70社程度とみられており、まだしもの感はあるが、株価の上昇で株式市場からの資金調達額の増大が予想され、その結果IPOの意義が再び注目されることになろう。
米国でもIPOは勢いを取り戻しつつあるが、一方で最近話題を集めているのが、ハインツの身売りとそれに伴う株式非公開化、デルやベストバイのMBOに伴う同じく非公開化の問題である。
H.J.ハインツは1876年、今から150年近く前に創業した米国を代表する食品会社(ケチャップのパイオニア)で、80年間近く上場会社であった。それだけに、今回の身売り、非公開化の発表は衝撃を呼んだようだが、ハインツにしろデルやベストバイにしろ、あるいはここ数年日本で非公開化した日本企業にしても、大胆な戦略転換を打ち出す上で、公開し上場していることが足枷になることは理解できる。とはいえ、非公開化した上での少数による意思に問題点はないのだろうか。ただ、公開会社であっても多くの株主は経営にタッチしているとは言えず、実態としては同じではないかという意見もある。
一方で先頃、サントリーホールディングスの佐治社長がグループの中核会社であるサントリー食品インターナショナルの公開、上場を発表した。ホールディングス本体の公開ではないが、親会社であるホールディングスの情報開示もかなり求められるであろうし、配慮すべき利害関係者は増えるのではないか。それでも公開に踏み切る理由は何なのか。
47回のこのコラムでも述べたが、個人的には会社という社会の公器は、自らを公開すべきだとは思う。ただし、社会に付加価値を生み出す企業の活動に対して、株式公開によって不合理な介入や行きすぎた規制がなされないことが条件ではあるが。
※「THE INDEPENDENTS」2013年3月号 - p16より