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鮫島正洋の知財インタビュー

トイレシェアを守る知財戦略

RestPass株式会社
磯谷 拓郎 代表取締役CEO

RestPass株式会社 代表取締役CEO 磯谷 拓郎 氏
 × 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏

 

街中のトイレをつなぐ新サービス

鮫島:「Restpass」は店舗のトイレを有料で開放する仕組みだと伺いました。なぜトイレに着目されたのでしょうか。

磯谷:女性トイレの行列が社会問題になっているからです。空いているトイレを探す手段がなく、コンビニで使えるトイレも減っています。内閣府が連絡会を設置し、国交省が建築基準法のガイドラインを策定しましたが、都市が変わるには20〜30年かかります。そこで新設せず、飲食店や美容室、ホテルなどのトイレをシェアする事業を考えました。利用者はアプリで探し、パスを購入して店員に見せるだけ。工事や機器設置は不要で、アプリだけで完結します。

鮫島:日本ではトイレにお金を払う習慣が根付いていませんが、需要はあるのでしょうか。

磯谷:池袋や秋葉原の有料トイレは1回100円で、1日200〜300回使われています。緊急性の高い生理現象なので、お金を払ってでも使いたいという動機は強いと考えています。

店舗の負担を収益に変える

鮫島:飲食をしない人が入ってくることに、店側の抵抗はないのでしょうか。

磯谷:声をかけた店舗の約3割は前向きです。価格は店が決め、利用料はレベニューシェアで還元します。トイレ目的の来店が購買につながれば、維持費の一部も回収できます。

鮫島:無料で使えていた駅のトイレまで有料になる懸念もあるように思います。

磯谷:無料トイレとの共存は必要です。有料トイレには並ばずに使える優先パスを用意するなど、受益者負担の形を探っています。

特許と営業力で参入障壁を築く

鮫島:アプリだけで成立するなら、他社にも模倣されやすいはずです。知財戦略はどうされていますか。

磯谷:まさにそこが課題です。設立から1年2か月で、商標を含め12件を出願しました。アプリを作れる会社なら参入できるため、開発と並行して参入障壁となる特許を押さえています。

鮫島:ただ、大手が一気に参入して市場を奪った例は、これまでほとんどありません。一軒一軒お店を回る地道な営業は、大手が苦手としがちだからです。

磯谷:確かに、地道な営業が強みになると感じています。

鮫島:営業力も大きな武器になりますね。一方、投資家への説明や将来のIPO時の企業評価では、特許の有無が効いてきます。ただし費用は限られるので、事業に必須のものとオプションを仕分けて出願してください。

磯谷:取った特許が本当に役立つかは、どう見極めればよいでしょうか。

鮫島:特許は書き方で価値が大きく変わります。出願書類が将来の紛争に耐えられるか、訴訟で相手に突かれて身動きが取れなくならないか、事前の検証が大切です。

海外展開を見据えた特許戦略

磯谷:日本のトイレは海外でもブランド化しているので、将来は海外展開も考えています。ただ、現地で先に似た仕組みを特許化されたり、侵害だと訴えられたりすると事業が止まるため、備え方に悩んでいます。

鮫島:国ごとに事情が違う点が悩ましいですね。欧州にはカフェで飲み物を買ってトイレを借りる習慣があり、この仕組みは馴染みやすいかもしれません。一方、東南アジアでは、特許侵害時に権利行使できるかが問題です。知財紛争に精通した裁判官が少ない国もあり、出願先の選定は難しい。費用も考え、市場の見通しに応じて国を絞る必要があります。

磯谷:広告やトイレの利用データの活用も特許で押さえています。特にデータ活用は、将来最大の収益源になると見ています。

鮫島:将来の収益の柱なら、権利として押さえる価値は高いです。まずは国内で事業に直結するコアな特許を優先し、海外出願もその優先度に沿って段階的に進めると無駄がないと思います。本日はありがとうございました。

―「THE INDEPENDENTS」2026年11月号 P.12より

※ 冊子掲載時点での情報です


RestPass株式会社 磯谷 拓郎 氏

<話し手>

RestPass株式会社 代表取締役CEO 磯谷 拓郎 氏
(→ イベント登壇情報)

生年月日:1982年12月8日
出身高校:熊本県立鹿本商工高等学校

NTT西日本在籍中。フロントエンドでのユーザ対応から、技術サポート、100名を超えるセンタ運営を経験。事業計画、商品主管、センタオーバーヘッド、人材育成、流通、調達、開発など、幅広い分野の経験と、得意とする組織マネジメントにより強力にプロジェクトを推進。

弁護士法人内田・鮫島法律事務所 代表弁護士 鮫島 正洋 氏

 

 <聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

 

企業情報

関西地方

RestPass株式会社

トイレ混雑解消ソリューション開発事業

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