温泉藻類で畜産・水産養殖を革新
温泉由来の微細藻類を事業化
ONSOH株式会社は、別府温泉由来の微細藻類「RG92」を活用し、畜産・水産向けの機能性飼料原料の研究・販売を手がける企業です。2006年創業のSARABiO温泉微生物研究所のアグリテック部門を母体に、2024年2月に設立されました。
RG92は2011年に別府温泉で発見された独自の微細藻類です。ヒトにおける長年にわたる糖代謝の研究をベースに、腸内環境の改善や免疫機能、エネルギー代謝への働きが期待されており、その抽出エキスや粉体を飼料に配合することで、魚や家畜の成長促進、生存率向上、飼料効率の改善を目指しています。

畜産・養殖現場での実証成果
同社の特徴は、大学等との共同研究に加え、実際の畜産・養殖現場で効果を検証している点です。ヒラメの実証では、終了時平均体重は対照区687gに対してRG92区1,021g、生存率は対照区50%に対してRG92区80%でした。また、ウナギでは飼料要求率の改善が確認されるなど、20種類以上の魚種で実証を進めています。畜産分野でも、ブロイラー1.5万羽で1トン以上の飼料使用量の削減や、子牛の下痢の低減といった実証成果が得られています。
生産者にとっては、出荷量の増加や飼料コストの削減につながることが重要です。RG92は既存の飼料に添加できるため、既存の飼育設備を大幅に変更することなく導入できる点にも強みがあります。

海外展開と事業拡大
事業モデルは、RG92原料・配合飼料の販売を中心に、地域や魚種・畜種ごとのライセンス供与、高付加価値な畜水産物のブランド化を組み合わせています。

国内では飼料メーカーや生産者との連携を進める一方、海外では韓国、中国、台湾、ベトナムなどで実証や商用化に向けた取り組みを展開しています。特にタイのCPグループやベトナムのMinh Phuなど、大規模な畜水産事業者との連携による市場拡大を目指しています。
2025年12月期の売上高は約6,245万円で、2026年12月期は約1.2億円を計画しています。今後は国内外の販路開拓と量産体制の整備を進め、両分野での事業拡大を通じて、持続可能な食料生産に貢献していきます。
コメンテーターより

株式会社Kips 代表取締役
國本 行彦
ONSOHは、独自の微細藻類RG92について技術的裏付けを有し、飼料効率の改善や家畜・養殖魚の死亡率低下を通じて、食料増産と飼料資源の節約に貢献する可能性がある。世界の養殖現場への普及が進めば、年間数百万人分のたんぱく質供給増も視野に入る。一方、量産時の品質維持、直販・代理店による販売体制、特許の権利帰属など課題は多い。商用化の実績を積み重ね、資本構成の整理と成長段階に応じた資金調達戦略の確立が求められる。
※「The INDEPENDENTS」2026年11月号 - P.8 掲載
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