資金の前に信頼を調達する

BOD三優監査法人 (https://www.bdo.or.jp/)
常務理事パートナー
山本 公太 氏 Yamamoto Kota
1991年明治大学商学部卒業
1996年BDO三優監査法人に入社 2000年公認会計士登録 2003年社員に就任
2009年代表社員に就任
2015年常務代表社員(現・常務理事パートナー)、業務本部長に就任
公認会計士としてのキャリアを通じて数多くのIPO案件に関与
2026年6月インデペンデンツクラブ理事就任。

インデペンデンツクラブ
代表理事
松本 直人 氏 Matsumoto Naoto
1980年3月23日生
大阪府立三国丘高校出身。神戸大学経済学部卒業
2002年フューチャーベンチャーキャピタル㈱入社
2016年1月同社代表取締役社長に就任
2022年7月㈱ABAKAM 設立、代表取締役就任(現任)
2023年3月㈱Kips 取締役就任
2024年9月インデペンデンツクラブ代表理事就任
IPO支援を得意とする準大手・三優監査法人。1986年に杉田純氏ら3名の代表社員が「クライアントと共に成長する」を掲げて創業しました。その理念を継ぐ山本公太常務理事パートナーに、今後の展望を伺いました。
理念を継ぎ、IPO支援を磨く
松本:まず、山本さんへの世代交代で何が変わるのか、お聞かせください。
山本:理念は変わりません。全スタッフがIPOに関与するスタイルも、創業以来のDNAです。これまで140社を超えるIPOを手掛け、あらゆるパターンに対応できる知見を蓄えました。今後も世界5位の会計ネットワークであるBDOのグローバルネットワークを一層活かした対応に力を入れます。IPO支援も引き続き柱として磨いてまいります。
松本:かつて監査難民が話題になりました。規模で引受けを判断されるのでしょうか。
山本:基本的に規模で受ける・受けないを判断してはおりません。経営者の誠実性、会社の成長性、管理体制、当法人の人員体制など幅広に検討し、適正な業務を適切な報酬で実施できるかという観点から判断しております。
監査品質を支える体制とAI活用
松本:会計不正の報道が続いておりますが、戦略に変化はございますか。
山本:手続きの強化はいたしますが、必要なことをきっちり行う姿勢は変わりません。IPO社数の大幅な回復は難しいと見つつ、以前は手薄だった東京プロマーケットにも関与しております。監査品質を最優先に、人と法人が共に成長する。この大前提は動かしません。AIも効率化の面で積極導入し、証憑と帳簿の突合や開示チェックはかなり自動化されてきました。
信頼資本が企業価値を左右する
松本:最近はIPOとM&Aのデュアルトラックも増えております。
山本:資金調達が重要なのは間違いありません。ただ、私はそれ以上に「信頼を調達する」ことが重要だと考えております。良い会社だから出資する、M&Aするのではなく、信頼できる会社だからこそ選ばれる時代です。実際、M&Aで傘下に入った会社の管理体制や財務報告に問題が見つかり、決算遅延を招いた事例もございます。ガバナンス、財務報告の信頼性、内部管理体制は私どもの専門分野です。IPOでもM&Aでも、継続してお役に立てると考えます。
松本:経営者は自社の信頼性を、どのように確かめればよいのでしょうか。
山本:企業活動が最後に行き着くのは決算書です。いくら売上が伸びても、経理に正確な情報が上がっていなければ、正しい数字にはなりません。経営者が細部まで自ら確かめるのは難しく、内部統制が機能しているかを監査役監査や内部監査、究極的には私どもの会計監査で確認することになります。まずは経営者がそこに関心をお持ちになることが出発点だと思います。
起業家を支えるコミュニティへの期待
松本:最後に、当クラブへの期待をお聞かせください。
山本:1,000社を超える事業計画発表の歴史を持ち、起業家・投資家・専門家が集う場です。お金だけでなく「信頼資本」を育てるコミュニティとして、今後も発展していただきたく存じます。日本の将来には起業家の裾野を広げることが不可欠であり、学生や若手社会人が起業を身近に感じられる機会を提供できるのは、まさにこのクラブです。企業の成長を支えるのは、最後は人と志。学び合い支え合うこの場から、日本の未来を担う企業が育つことを心より願っております。
interviewed by kips 2026.7.17
※「THE INDEPENDENTS」2026年9月号 P.12より
※ 冊子掲載時点での情報です