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【國本 行彦】 1960年8月21日生。 東京都立志村高校卒業。 1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。 2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。 2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現副代表理事) 2020年6月 (株)ラクス社外取締役就任 |
高市新政権になって、日本の進む方向が以前よりもはっきり語られるようになりました。評価はさまざまだとしても、方向が示されると人は動きやすくなるのだと感じます。組織も社会も、結局はリーダーシップの影響を強く受けるのだと思います。
先日、奈良の五條メディカル社を訪問しました。再生医療の検体やワクチンを扱う超低温物流の会社です。こうした事業が地方から始まっていること自体、少し意外でした。創業者の原田杏子氏は東京で働いた後、家業の運送会社に戻り副社長として収益を伸ばします。しかし経営方針をめぐり対立し、コロナ禍でワクチン輸送の課題を見て独立しました。医療分野は未経験、資本金は自ら貯めた800万円。全国から薬剤師を募り、県の事業プランに採択され、金融機関の融資で低温物流倉庫を建設したといいます。
この話を聞きながら、地方の起業の姿が少し変わってきているのではないかと感じました。多くの地域では人口減少に加え、後継者不足が続き、新しく企業を興す人も多くはありません。意欲のある人ほど都市へ出ていき、地域に産業が残りにくい状況があります。
一方で、地方では女性が働ける職場や役割はさらに限られています。地元に戻っても働きたい会社が見つからないという話を耳にすることがあります。そのとき、就職先を探すのではなく、自分の働く場を自分でつくろうとする人が現れます。
彼女も、地域活動の延長ではなく、雇用と投資を伴う事業として形にしていこうとするものでした。周囲が整うのを待つのではなく先に動き、後から自治体や金融機関が動いていく。その順序が印象に残りました。
最近、各地で優秀な女性経営者に出会う機会が増えてきました。女性だから特別というより、これまで担い手と考えられてこなかった側から起業が始まっているように見えます。そうした動きが、結果として地域の活力につながっていくのかもしれません。
※「THE INDEPENDENTS」2026年3月号 - P.14 より
