![]() |
【國本 行彦】 1960年8月21日生。 東京都立志村高校卒業。 1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。 2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。 2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現副代表理事) 2020年6月 (株)ラクス社外取締役就任 |
2025年の新規上場市場を振り返ると、数字以上に印象に残るのは、その「広がり方」だったように思います。IPO社数66社(プロマーケット上場を除く)の市場別内訳は、プライム7社、スタンダード12社、グロース41社(TPM経由1社)、名証4社(TPM経由2社)、福証1社(TPM経由1社)、札証1社と、前年84社に比べて減少しました。
一方で存在感を高めたのが、TOKYO PRO Market(TPM)で、2025年TPM新規上場は46社に達し、グロース市場の新規上場数を上回りました。2025年末時点でのTPM上場会社数は163社となり、プロ市場はもはや一部の企業だけの選択肢ではなく、現実的な上場ルートとして定着しつつあります。平均時価総額がおよそ10億円という規模感に加え、J-Adviserの増加による支援体制の充実、特定投資家基準の見直しなどが、企業にとって「ちょうどよい上場」を後押ししているように感じられます。
引用:東京証券取引所 資料
こうしたTPMの拡大は、地方企業の動きとも重なります。特に関西では、2025年のTPM上場が13社と前年から大きく増加し、一般市場の新規上場数を大きく上回りました。東京に本社を移すことなく、地元に拠点を置いたまま上場を実現する企業が増えてきたことは、地方経済にとっても明るい話題です。
東京証券取引所のデータを見ても、2025年の新規上場企業(プロ市場含む)110社のうち、東京本社は56%にとどまり、残る44%は東京以外の地域に本社を置いています。全国各地から上場企業が継続的に生まれている状況は、上場が特定の地域に偏るものではなくなってきたことを示しています。
引用:東京証券取引所 資料
地方の上場気運を支えているのは、各地の証券取引所の取り組みです。名古屋証券取引所では、全国の企業を対象としたネクスト市場が2025年に23社の上場を迎えました。福岡証券取引所では、Q-BOARD市場に加え、Fukuoka PRO Marketが成長企業の新たなステップとして機能し始めています。札幌証券取引所においても、アンビシャス市場に加え、プロ向け市場の新設が予定されるなど、地域の特色を活かした市場づくりが進んでいます。
こうした動きの背景には、東証グロース市場の見直しもあります。「高い成長を目指す企業の市場」という位置づけがより明確になったことで、企業は無理に背伸びをするのではなく、自社の成長段階に合った市場を選びやすくなりました。その結果、TPMや地方市場を起点に、次の成長を見据える企業が増えているように感じられます。
2025年は、新規上場社数そのものは落ち着いた一年でしたが、地方からの上場気運は確実に高まりを見せました。多様な市場が整い、企業が自らに合った上場のかたちを選べるようになったことは、日本の資本市場にとって大きな前進と言えるでしょう。
そして、こうした流れを見ていると、関西の盛り上がりにも自然と期待が集まります。
いつか「大阪プロマーケット」が生まれる日が来ても、不思議ではない――
そんなことを、少しだけ想像してしまう一年でした。
※「THE INDEPENDENTS」2026年2月号 - P.15 より
