「もったいない文化」を活かした循環型シェアリングサービス
株式会社アリススタイル 代表取締役CEO 村本 理恵子 氏
■ 循環型物流システムを確立したシェアリングプラットフォーム
日本の家庭内には約60兆円もの遊休資産が眠っており、これらの使われないまま放置されている商品を活用するためのプラットフォームを運営しています。当社はシェアリングシステム、循環物流システム、リファービッシュ、顧客・商品データベースを一体化した循環型経済のインフラを構築しました。通常の物流と異なり、商品が必ず返ってくる「静脈物流」を実現し、約1000種類の商品を日々クリーニング・整備して翌日には再出品できる仕組みを確立しています。
■ サブスクとCtoCを組み合わせたビジネスモデル
当社のビジネスは、サブスクリプションモデルの「アリスプライム」とCtoCのマーケットプレイス「アリスベーシック」の二本柱で展開しています。
「アリスプライム」は月額3880円で美容家電や高級家電が使い放題のサービスです。女性ユーザーが7割を占め、高級ドライヤーや美顔器、高級炊飯器など、「使ってみたいけれど高価で購入をためらう商品」や「使用しても効果がすぐにはわからない美容家電」などが人気を集めています。
「アリスベーシック」では、サービス開始当初「日常生活のものを貸し借りする需要はない」と懐疑的な意見もありましたが、現在では四半期で約38.8億円、年間約160億円の流通総額を達成するまでに成長しました。
■ 大手企業とのホワイトレーベル提携
大手企業とのホワイトレーベル提携も進めています。2024年8月にはJALマイレージバンク会員向けに「kariteco」、2025年4月にはVポイント会員向けに「Vスタイルプラス」としてサービスを提供開始しました。これらの提携では、広告宣伝費を企業側が負担し、売上の80~85%が当社に入るモデルを構築しています。
このビジネスモデルの強みは、顧客獲得コストの大幅削減と解約率の低さにあります。JALやVポイントの会員のうち、わずか0.3%がサービスに加入するだけで事業計画を達成できる計算です。また、大手企業ブランドの信頼性により、ユーザーの継続利用率も高くなっています。
■ 「もったいない」という持続可能な消費文化を世界へ
当社は、日本に根付く「もったいない」という持続可能な消費文化に着目したシェアリングエコノミー企業です。現地企業のsinarmas社と三菱商事と連携して2025年からインドネシア、将来的にはベトナムへと海外展開を視野に入れています。
知財戦略面では、レンタルシステムやレコメンドシステムなど、大企業の参入に備え、特許ポートフォリオを構築しています。
「世界はたまにしか使わないもので溢れている」という認識のもと、株式上場を視野に入れ、循環型経済のインフラ構築を目指していきます。
コメンテーターより![]() |
モノのシェアリングプラットフォームを提供する企業です。家電や美容機器をはじめ、ターゲットを意識しながらシェアリング対象物を選定・拡大しており、着実にユーザーを増やしているとのことです。データの利活用や、AIを用いた省コスト化など、技術の活用に熱心なところに好感を覚えました。特許も取得済で、模倣的参入を防ぐための体制作りも意識されており、今後のサーキュラーエコノミーの発展とともに、ますますの成長が期待されます。 弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 高玉 峻介 氏 |
※「The INDEPENDENTS」2025年5月号 - P.11 掲載