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「家畜生育データと飼料の関係性から家畜育成モデルをつくる」

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【吉角 裕一朗氏 略歴】
生年月日:1982年8月20日
出身高校:湧心館高校
東京で学生時代を過ごし24歳で熊本に帰郷。その後、最新テクノロジーを研究し自動車の再生バッテリーのインターネット通販事業を開始。
2007年に創業した(株)吉角の代表取締役として全国にカーエイドの6000店舗拠点と販売網を構築。蓄電システムや工事現場用バッテリーのレンタル事業も行う傍ら、自家配合プラント構築や飼料マネジメントについてコンサルティング事業も行う。2019年10月に同社より事業をカーブアウトし(株)コーンテックを創業。

【(株)コーンテック】
設 立 :2019年10月25日
資本金 :52,500千円
所在地 :熊本県熊本市小山3-1-6
事業内容:養豚プラントの設計・施工・コンサルティング
従業員数:7名

家畜生育データと飼料の関係性から家畜育成モデルをつくる


■創業の経緯

現在、国内畜産市場規模は3兆円超、その内、養豚は6千億円規模です。国内の豚肉需要状況は緩やかに上昇中ながら、一方で、国内豚肉年間消費の約半分が輸入で賄われている状況です。  今後、世界的に今後豚肉需要が急増することが見込まれているものの、養豚経営コストの約60%が飼料で占められていること、飼料の自家配合にベテラン飼育者の経験に頼る後継者不足問題、そして国内豚肉安定供給への使命感もあり創業に至りました。

■IoT・AIに投資で養豚事業の高効率化をめざす

日本は、肥育豚に与えている、とうもろこしやエコフィード(食品残さ等を利用して製造された飼料)など濃厚飼料のおよそ9割を輸入に依存しています。畜産家にとってはコストアップにつながっており、今後飼料価格高騰のリスクがあります。日本国内で畜産飼料自家配合がすすめば、こういった課題の解消につながります。  当社は前身時代も含め、この20年で全国100か所以上の畜産事業者へコンサルティングを行い、餌の最適配合データや気温湿度など環境データは蓄積という大きな強みを持っています。当社のプラントを用いると20-30%のコスト削減が可能です。最先端の当社プラントを導入した経営者は、約1年間で投資資金の回収可能が可能です(例:売上2億円の畜産農家では餌代1.2億円/年→0.8億円/年)。また飼料の栄養価のバランス調整を行うことで、肥育豚の成長速度を上げて出荷頻度を高めることも可能です。 当社は国内の食品ロス量が年間643万トンである点にも着目していています。当社のプラントはエコフィードを使用し、飼料コストや食品ロス削減につなげています。

■事業マイルストーン

当社は2020年6月下旬から、宮崎県で、カメラ、センサー、画像認識技術を組みあわせて、家畜の「体重」「体温」「外気温」などのデータを収集する実証実験を行っています。豚を自動検出し、人間ではおよそ感知できない骨格、顔の特徴、鳴き声などのデータです。集めたデータをAIで解析していくことで、今後、再現性のある育成モデルを確立していきます。例えば増体・骨格分析メソッド、最適な飼料配合メソッドなどです。肉質の良化、個体を仕分けし成長管理を行い、出荷する肉質を良くし単価アップが図る、飼料量の最適化を図れるIOT/AI製品化をめざし、畜産業の発展に貢献します。 

※2021年5月号掲載時点での情報です