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「IPOと業績計画」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。
東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現理事)


TOKYO PRO Market上場後初の決算短信(2019年12月期)を東京証券取引所へ提出しました。投資先トビラシステムズの上場に伴う営業有価証券売却もあり売上高は91,283千円(前年同期比62%増)、当期純利益は投資有価証券の売却等により64,501千円となりました。しかし未上場投資先の損失引当金計上により営業段階では15,451千円の赤字でした。

通常、決算短信では業績予想を開示しますが、当社のベンチャーファイナンス事業は株式市況やIPO動向によって振幅するため業績予想を発表していません。実は日経新聞に取材も受けていないのに当社業績予想が掲載され驚いています。

IPO審査においては業績予算計画の精度が重要になります。 最近増えているサブスクリプション型ビジネスモデルは業績計画が立てやすく、赤字段階から上場準備に着手する企業が増えています。 利益が出てから上場準備するのではなく、成長ドライブ期に絶妙のタイミングでIPOする事で株式市場から高い評価につながります。

店頭市場(現JASDAQ)上場基準が緩和された 30年前の1980年代も売上高や利益水準に関係なく成長意志の強い起業経営者が次々にIPOしていきました。当時は経常利益3億円達成が上場条件の目安でしたが、現在は業績計画達成の精度が求められています。

(注)当社は業績予想の開示が可能になった時点で速やかに開示いたします。


※「THE INDEPENDENTS」2020年3月号 - p30より