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「ライターネットワークを活用した制作受託から、コンテンツ流通プラットフォームへの進化を目指す」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真左)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
CROCO株式会社
代表取締役 栗田佳典氏(写真右)
生年月日:1981年12月4日 出身高校:岐阜県立大垣北高校
横浜国立大学教育人間科学部卒業。2004年に(株)セントメディア(現・(株)ウィルグループ)に入社。2009年(株)サムライファクトリー入社、事業統括部長、事業担当取締役を経て、2013年8月に代表取締役社長に就任。2015年12月にコンテンツマーケティング事業を吸収分割により分社化しCROCO(株)を設立、代表取締役就任。

【CROCO株式会社】
設 立 :2015年3月2日
所在地 :東京都渋谷区代々木4-33-10
資本金 :176,470千円
事業内容:インターネットを利用したマーケティング業務及び関連するコンサルティング
URL :https://cro-co.co.jp/

<特別対談>これからのIPOスタイル

ライターネットワークを活用した制作受託から、コンテンツ流通プラットフォームへの進化を目指す


■CROCOの成長戦略

栗田:当社は、「みんなゆたかに」をミッションに掲げ、剽窃(ひょうせつ)チェックに代表される自然言語処理テクノロジーと50万人のライターネットワークを活かし、次世代型編集プロダクションとして事業展開をしています。

小原:御社の社名の由来はどのようなところからきているのですか?
栗田:社名は「C」「R」「O」「C」「O」でクロコと読みます。私の性分として、自分が表に出で脚光を浴びるより、誰かのために動き、その人の笑顔を見たり喜んでもらったりすることが好きなんです。会社としても、クライアントの業績貢献のため、またライターさんが活躍していただくために、我々は裏から支える黒衣的な立ち位置におりますので、この社名にしました。

小原:御社の成長戦略と資金調達に関して、さらにIPOストーリーについてお聞きしたいのですが、創業してから現在にいたるまでの経緯をお聞かせいただけますでしょうか?
栗田:当社は、2015年にサムライファクトリーという会社から吸収分割という形で創業しました。事業にかかわる人員に加え、間接人員も引き受け数十人規模で事業をスタートしました。分割当時の売り上げでは販管費をカバーすることはできず、かつ分割時のデットファイナンスの返済もあり、なかなかハードな創業期を過ごしました。 小原:それは大変ですね。しかし、そのような体験を経てきているので、しっかりした事業展開をしているのだなということがわかります。最近のスタートアップ企業は、ビジネスアイディアが素晴らしく将来性があっても、経営についてまだまだ不勉強だなと感じる方が多いですからね。
栗田:会社はなんとか生き残りつつ売り上げも伸びてきていますが、まだ創業4年です。IPOできたら多少は経営に自信をもてるかなとは思います(笑)。リスクを承知で私についてきてくれた社員の生活を守る責任がありましたから、創業時から今までは受託型のビジネスに注力をしてとにかく目の前の売り上げを伸ばし、キャッシュインを増やすことを重視していました。スタートアップらしくテクノロジーに投資するなどの冒険をしたかったのですが、そうは言っていられない状況でした。

小原:これまで調達した資金は生き残るために必要だった。では、黒字に転換したこれからが実は本当のスタートですね。
栗田:そうですね。これまでは、アクセルを踏みながらも、小刻みにブレーキを踏まないといけないという状況でしたので、やっとここからさまざまなチャレンジができるようになりますね。

小原:今後、調達した資金は、次の事業にまわると思うのですが、どのようなところに投下していくのですか?
栗田:コンテンツの制作、特にライティング業務に関しては、どこの制作会社、広告代理店もリソースが不足しており、ライターを確保できずにいます。そのライターリソースを当社は大量に抱えているのですが、まだまだ認知されていません。また現在開発中ですが、コンテンツの調査・解析・企画・制作・校正のオペレーションノウハウとライターのリソースをオープン化しプラットフォーム展開を考えています。既存事業、新規事業においてのプロモーションとプラットフォーム開発に資金を投下していく予定です。

■ IPOに向けた取り組み

小原:IPOを見据えた時、どのくらいのバリエーションを考えていますか?
栗田:現在のマーケットを眺めていると、既存の受託モデルではIPO時に数十億いけば御の字かなと考えてはいます。今後注力していくライターのプラットフォーム、その次に考えているコンテンツのプラットフォームを成功させた暁には、桁ひとつ増えてほしいなと妄想しています。

小原:コンテンツのプラットフォームとは具体的にどんなものですか?
栗田:まだ詳しくお話できないですが、先日、ある業界の専門誌が休刊になりました。中身を見るととても内容が濃く、Webのどこにも転がっていない良質な情報なのです。こういったコンテンツをオープン化していきたいといった構想です。それにより、これまで眠っていた良質なコンテンツの流通が広がる世の中を作り出したいなと思っています。
小原:IPOを見据え、御社の価値を高めるのにはそこを実現させていく必要がありますね。
栗田:そうですね。現在、大手印刷会社さんや出版社さんにもご興味をもっていただいているので、今後うまく形にしていきたいですね。

小原:資金調達のお話やIPO前後の成長シナリオをお聞き、今後に大きな可能性を感じました。本日はありがとうございました。

■ 対談を終えて

小原:現在の貴社は、受託モデルから脱却しコンテンツのプラットフォーマーへの転換を図る非常に重要な時期にあると思います。お話を伺ったなかで、貴社の独自性がコンテンツ、ライター、システム等、どこにあるのかをもっと明解にした方が良いように思われました。これが将来のブランディングに繋がります。これまで既存のビジネスで苦労した分を新たなビジネスで大きく展開されることを期待します。
栗田:IPO支援のプロである小原様に、今後の事業展開について助言いただけたことは大変ありがたく、また創業からこれまでの拙いながらも必死に走ってきた経営者としての経験を肯定いただけたこと、自信になりました。「黒衣(くろこ)」の社名のとおり、あまり表に出る活動をしてきておりませんが、さまざまな場所に出向きPRすることで世の中の反応をいただけるわけですから...もう少し今回のような表に出る活動をしていきたいと思います(笑)

■ 株式会社AGSコンサルティング 会社概要

代表者  :代表取締役会長 虷澤 力/代表取締役社長 廣渡 嘉秀
スタッフ :400名(公認会計士61名・税理士76名)2019年10月現在
東京本社 :東京都千代田区大手町1-9-5 大手町フィナンシャルシティノースタワー24F
      TEL 03-6803-6710 FAX 03-3510-2800
大阪支社 :大阪府大阪市中央区今橋3-3-13 ニッセイ淀屋橋イースト 5F
      TEL 06-6232-0600 FAX 06-6232-0616
名古屋支社:愛知県名古屋市中村区名駅 4-2-28 名古屋第二埼玉ビル 9F
      TEL 052-533-6695 FAX:052-533-6698
福岡支社 :福岡県福岡市中央区天神1-9-17 福岡天神フコク生命ビル 14F
      TEL 092-737-8211 FAX 092-724-0320
海外拠点 :シンガポール、香港、マレーシア
事業内容 :マネジメントサービス、事業承継支援、企業再生支援
      IPO支援、M&A支援、国際業務支援
URL  :http://www.agsc.co.jp/

※「THE INDEPENDENTS」2019年12月号 - p10-11より
※掲載時点での情報です