「(株)ANSeeN、(株)トルビズオン」
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令和時代初の事業計画発表会では、大学発の研究開発型ベンチャーとアイディア企画型ベンチャーという全く分野の異なる2社の発表となりました。
(株)ANSeeNの技術は、経産省、AMED、NEDOの研究開発支援を毎年受けながら、現在NEDO「研究開発型ベンチャー支援事業/シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援」の2年目に入っています。技術レベルの評価は高いのですが、世界に向けて技術をビジネス展開できない地方の大学発ベンチャーの支援を行っているリアルテックファンドの資金も入っています。
(株)トルビズオンの増本氏が考案した上空シェアリングビジネスモデルは、ドローンを飛ばすにあたり、他人(土地等所有者)の上空権をシェアリングし、利用収入を配分することによって、将来のドローンタクシーをも視野に置いた、既存の業界関係者からでは出ないアイディアです。しかし、狭い国土で法体系が複雑で、公道での自動走行自動車実験すらなかなか進まない日本で、現実的な事業となりうるかの検討が必要です。
当日は参加者から多くのアドバイスを有難うございました。将来のIPOを目指している2社の次なる飛躍のために講評いたします。
No.981 株式会社ANSeeN(代表取締役 小池 昭史 氏)
①技術活用顧客の市場の明確化
製造の高効率化・輸送の安全性・健康寿命の現場で、「見えない」不安を、「見える」安心の社会を構築するという新たなVisionを構築し、具体的には自動車、半導体製造工程の欠陥発見の非破壊検査や画像処理の医療機器へのX線イメージング技術を活用しようと考えています。技術成果については従来センサとの比較優位であることは確かですが、技術活用顧客の市場規模の明確化をその理由を含めて事前調査が不可欠です。②研究開発型BtoBベンチャーの事業連携イメージを
2020年度にてラインセンサの製品化を行い、2021年度より量産体制の構築を行う計画です。素子の組み込みから実装まで一貫して行うことで、独自製品の生産までを見込む高収益モデルを目指しています。研究開発型ベンチャーが取り組む典型的なモデルですが、当社が主導権を確保しながら具体的な連携ネットワークの構築イメージを提示すると支援者に対して説得力があります。③自動車関連に特化した競争優位の道を
大学発ベンチャーは技術が何にでも活用できるという典型的なプレゼンになっています。静岡大学発という事業協力者の立地も考えると自動車産業に特化したらいかがでしょうか。センサ組み込み装置を量産までこぎつけても、既存の製造ラインの大改造か工場の新設の場合が大量販売のチャンスとなります。国内メーカーは、今後中国での生産能力を拡大すると予測されています。唯一の世界の車関連ポータルサイトの情報を収集下さい。No.970 株式会社トルビズオン(代表取締役 増本 衛氏)
①個人地上所有権のシェアリングの優先地域を明確に
上空シェアリングの事業価値は、土地所有者視点では、むしろ日本の中核都市での人口密集地がより高いと考えられます。理論上はシェアリングが可能としても、飛行機の航路を含む公共の利益を阻害する可能性があります。世界の空を利用可能にするというミッションから、空域を点・線・面へと拡大するターゲット3フェースを考えていますが、地域協力が不可欠ですので、優先地域を十分検討する必要があります。②個人情報の提供に対価を支払う「情報銀行」との関連は
現在個人の情報がWebビジネスで勝手に使われているとの認識から、個人情報を一括管理する「情報銀行」の設立が具体化しています。個人情報には、住所の土地・家屋の所有の有無も含みます。地上権も含まれますので、個人地上所有権のシェアリングとどのような整合性をとるか検討ください。地域協力の地上シェアリングは、個人住宅の無い山間地域や海岸地域ということになる可能性があり、収益モデルの可能性が疑わしくなります。③ベンチャー戦略特区の九州地域でアイディア地域実装実験の可能性を
第一次産業から第三次産業へと産業構造と人口構造の変化は、都市化推進の100年間であったといえます。この間、日本は箸の上げ下ろしまで規制しているという法整備を行ってきました。行政の縦割り細分化を打破し、実験地域をつくり、実験地域での成功を日本の制度設計見直しに拡大するのが戦略特区制度の導入です。福岡市がベンチャー戦略特区に選定されていることをチャンスに、産官学連携組織「九州ドローンコンソーシアム」にどのような推進メンバーを加えることができるかが、事業の可能性を探る第一歩です。2019年5月7日インデペンデンツクラブ月例会 東京21cクラブにて