アイキャッチ

「(株)BRAIN MAGIC、(株)イージステクノロジーズ」

公開


早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。2012年3月教授を退官。ウエルインベストメント㈱取締役会長
特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ代表理事

【バックナンバー】

2008年12月~*最新号もこちら

【イベント一覧】

全国年45回の事業計画発表会他

【入会案内】

月刊誌購読、イベント参加etc.

【マイページ登録】

メルマガ購読、電子書籍閲覧etc.


No.846 株式会社BRAIN MAGIC(代表取締役CEO 神成 大樹 氏)

神成氏は、学生時代よりイラストレーター、デザイナーとしての活動を開始し、クリエイターの現場作業の創造性を高めるためのクリエイター向けハードウェア・ソフトウェア開発事業を2016年2月に設立しました。 クリエイターO2のObiterlエンジンは、「倒す、回す、押す」の基本的な三つの動作を再デザインし、作業プロセスを見える化し、これに関係する知財戦略を進めています。2017年末には国内におけるテストマーケティングの為、クラウドファンディングを実施し、事前に用意した在庫以上をクリエイターに完売しました。また、2018年明けにはアメリカラスベガスで開催されたCESに出展し、世界のトップクリエイターからの高い評価を受け、すでに多数の引き合いがあります。クリエイターの社会的地位の向上を支援するためにも、IPOを目指していますが、次の3点の課題をクリアする必要があります 。

①幅広い顧客層に対応したO2製品の品ぞろえ

世界のトップインフルエンサーと組み、高価格帯でまずブランディングの確立を目指しています。O2活用のすそ野を拡大するために、中・低価格帯に合わせた機能特化型の製品の開発スピードを上げる必要があります。

②ファブレス企業として安定化のため顧客視点のバリューチェーンを

数万台までは可能ですが、数十万台となると海外での委託生産が不可欠で、部材・組立・在庫等を顧客視点のバリューチェーン体制とファブレス企業としての情報管理を確立する必要があります。

③データ駆動型ビジネス事業への展開

O2のObiterlエンジンは、撮影スタジオ・自動運転・医療診断機器にも技術的応用が可能ですが、クリエイターの作業プロセスの見える化と作品品質との関連性のデータに価値創造を生み出せるデータ駆動型ビジネスに展開できます。クリエイターの世界に新風を吹き込むことを期待します。


No.847 株式会社イージステクノロジーズ(代表取締役CEO 茅野 修平 氏)

茅野氏は、セキュリティ系上級技術者として政府系重要施設の管理運用責任者として従事した後、静岡での多様な支援を受けて、超小型センシングデバイスの設計開発・サービス事業を目指して、2015年1月に会社を設立しました。IoT技術(主にセンシングデータ)及び画像分析、認識技術による危険予知予測分析アルゴリズムを組み込んだJAXA基準の超小汎用記録計Logger Oneを開発しました。GPS出力での電子基準点から5㎝四方の誤差を100メートル内で測定可能です。多様な市場領域がありますが、現在道路系の交通インフラで実証実験に入っています。数年後にIPOを考えていますが、次の諸点を検討する必要があります。

①JAXA技術を老朽化した道路等インフラ活用の限界

道路の管理責任は民営化SPC・県・市町村と多様にあり、予算措置が必要です。道路のPFI化が進んでおらず、短期に道路活用で収益モデルを作るには限界があります。危機管理の拠点緊急性と設置可能箇所を検討する必要があります。

②民間転用のための機能特化開発の容易性は

超小汎用測定デバイスは、ドローン向けを中心に事業計画が作られていますが、性能とコスト両面で特定用途向けの開発なしでの採用可能性、市場・顧客視点で進出領域の優先順位を明確にした事業戦略が必要です。

③強い静岡地域への貢献

静岡地域は日本産業の縮図地域で、人材・技術・特定市場開発には最適です。しかし、IPOを目指す以上は、企業の成長のための市場をどこに求めるか、開発・生産を地域人材だけで十分かを検討してください。


2018年3月5日インデペンデンツクラブ月例会 東京21cクラブにて