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「「日本発のボードゲームで海外展開を目指す」」

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【福本 皇祐 略歴】
1959年生まれ。金沢桜丘高校出身。早稲田大学卒業後、1985年、(株)ホビージャパンに入社。営業を担当。1992年(株)ホビージャパンを退社、(株)遊演体に入社後、同社の新規事業部門として神田事務所を設立。1998年2月13日、 新規事業部門を分社化して(株)アークライトを設立。

【㈱アークライト 概要】
設 立:1998年2月13日
資本金:50,000千円
主要株主:福本皇祐、(一財)角川文化振興財団、(株)KADOKAWA、他役員
所在地:東京都千代田区神田小川町一丁目2番地 風雲堂ビル2階
事業内容:ボードゲームの制作・製造・販売、ゲーム書籍の企画・制作・出版、イベント事業


<起業家インタビュー>

(株)アークライト 福本 皇祐 氏

「日本発のボードゲームで海外展開を目指す」


アナログゲームを通じて、ヒューマンコミュニケーションを拡大し、
より活力のある社会を創造することを目指す起業家

■トレーディングカードゲーム(TCG)を販売するショップ『ホビーステーション』運営に加え、メーカーとしてオリジナルのカードゲーム・ボードゲームを開発し、『アークライトゲームズ』のブランドで製造販売もおこなっています。

設立当初はデジタルゲームの開発をおこなっていましたが、徐々に開発の主体をアナログゲームに移行してきました。クールジャパンの一角を担うアナログゲームを核に、出版・同人イベント開催・製造・卸売・販売事業を網羅し、企画開発から販売まで一貫しておこなうことを強みにしています。オール・インワンで持っていれば、外部からコントロールされることなく、自分達の裁量で事業展開ができると考えています。

■TCGやボードゲームなどのアナログゲームに移行したきっかけを教えてください。

日本で大ヒットしたTCGの「マジック:ザ・ギャザリング」の攻略本に携わったことがきっかけでTCGゲーム制作を始めました。店舗運営のノウハウは全くなかったのですが、顧客の動向をダイレクトに見ることができれば究極のマーケティングになると考え、15年前にTCGの販売ショップ『ホビーステーション』1号店を秋葉原に出店しました。現在、『ホビーステーション』は全国で33店舗を運営しており、国内最大規模で展開しています。

■アナログゲームの良さはどこにあるのでしょうか。

モバイルツールがあれば、どこでも情報がとれるし、友達ともいつでもやり取りできますが、便利であるほど人と会う必要がなくなります。一方、TCGやボードゲームは人と会わないとできません。「人と人が出会い良好なコミュケーションを形成するツール」という点に、我々は価値を見出しています。

■ドイツやアメリカなど海外ではボードゲームは根強い人気がありますが、日本の市場はいかがでしょうか。

日本では、1995年にドイツのボードゲーム「カタンの開拓者たち」が日本で大ヒットとなったことを皮切りに海外ボードゲームの認知度が高まりました。その後、心理戦ゲーム『人狼』の登場により、それまでアナログゲームに触れたことのなかった若い世代にも広がり、日本のボードゲームの市場はここ数年で急激に拡大しています。当社が企画するアナログゲームイベント『ゲームマーケット』は、参加者1万8,500人、出展サークルは700以上に及びます。この中から世界で活躍するクリエイターが必ずや出てくると思います。

■10数年前に一度海外進出されました。

「アークライトUSA」という子会社を設立し、アメリカで日本製のボードゲームの販売を開始しましたが、日本のゲームデザイナーが作ったものは認めてもらえず全く売れませんでした。子会社を清算するなど大きな損失を出しましたが、現在の海外展開におけるメインパートナーであるFantasy Flight Games社(アメリカ大手ボードゲーム会社)に出会えたことは大きな収穫でした。

■海外ではKickstarterなどのクラウドファンディングで資金調達をしてボードゲームを開発するケースが増えているようですね。

アメリカでは、ボードゲームのプロモーションの一環としてクラウドファンディングを利用しています。幸いなことに、昨年からKickstarterは日本から立ち上げることもできようになりましたので、日本発プロジェクトを世界で立ち上げたいと考えています。海外のボードゲーム市場は3,000億円と言われています。日本の100倍近くある海外市場にいち早く足場を作るため、まずはアメリカを主戦場にしていきます。

■本日はどうもありがとうございました。最後に今後の事業展開について教えてください。

まずは、国内での製造・販売網を盤石なものにしていきます。現在は、海外のライセンスを取得したものをローカライズ(日本語版)したボードゲームが多いのですが、今後は自社開発タイトルの比率をあげていきます。また、自社ブランド『アークライトゲームズ』として日本発のボードゲームを世界中で販売していきます。海外展開のための資金調達のため、上場も検討しています。単なる遊びとしての「ゲーム」ではなく、優れたコミュニケーションツールとしての「ゲーム」を提供していくことで社会に貢献していくことを目指しています。

※「THE INDEPENDENTS」2018年4月号 - p4-5より