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「2017年のベンチャー投資市場」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任

2016年のIPO時価総額トップはLINEの6900億円でしたが、時価総額100億円以下のIPO社数が全体の73%を占めています。数年内にはIPO時価総額1000億円を超えるベンチャー企業が珍しくない時代が来るとは思いますが、日本では時価総額数十億円のローカル型やニッチ市場トップ型のIPO企業が主流の時代が続き、IPO件数もこの状態が暫く続きそうです。

ファンドサイズ100億円以上の大手VCはユニコーンと言われるベンチャー企業へ数億円単位の投資を加速化していますが、エグジットはIPOよりM&Aの事例が増えそうです。スタートアップ企業がIPO後も継続成長できる事業基盤を作るには時間がかかります。社内管理体制に対するIPO審査やコストを考えるとファンド満期内で回収が求められるVCにとってはM&Aが合理的な選択肢になります。

一方で地方創生の担い手として期待されるベンチャー企業に対しては、地域密着型金融機関やクラウドファンディングによる小口投資家が従来型VCに代わりベンチャー投資の主役となるでしょう。その場合のエグジットはIPOではなく、自己株式取得や償還型種類株などのローリスク型が求められます。

2016年はグローバルベンチャー企業への期待が高まりましたが、2017年はニッチトップ型ベンチャー企業への投資マーケット広がりを期待したいと思います。

※「THE INDEPENDENTS」2017年1月号 - p2より