アイキャッチ

「株式会社INDETAIL、シェアリングテクノロジー株式会社」

公開


早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。
2012年3月教授を退官後、株式会社インディペンデンツ顧問に就任。
インデペンデンツクラブ会長

【バックナンバー】

2008年12月~*最新号もこちら

【イベント一覧】

全国年45回の事業計画発表会他

【入会案内】

月刊誌購読、イベント参加etc.

【マイページ登録】

メルマガ購読、電子書籍閲覧etc.

 2016年初の215回東京での事業計画発表会です。申年は荒れると言われますが、年初より中東と中国の政治的・経済的不安材料で、昨年日経ダウ平均21,000円を狙っていた株価が、半年で17,000円を割り込みました。中国の製造業、さらに石油を震源地とする世界の需給調整が長期にわたりますので、乱の申年は気が許せません。
 NPO法人インデペンデンツクラブ発足のスタートの年度は、北海道と名古屋からのICTベンチャーの事業計画の発表です。

No.646 株式会社INDETAIL(代表取締役 坪井 大輔氏、札幌)

 坪井氏は、ソフトウエア開発のエンジニアを経て、北海道の地でローカルベンチャーのロールモデルになることをビジョンに、2009年にインディテールを札幌で設立しました。事業内容は、スマートフォンアプリ・ウエブシステム・ソーシャルゲームの受託開発事業、ECプラットフォーム運営事業(moremall)、すべての事業者が気軽にオンラインサービスを始めることが可能になるクラウドサービス事業(Growth Cloud)を2014年から開始しています。今般、資金調達、提携先獲得、人材募集を目的としてプレゼンをしています。
近い将来IPOを目指して活動しているが、次の諸点の課題解決が必要です。

①地方創生のロールモデルを

 2000年当時、ビットバレー(渋谷)と並び称されていたサッポロバレー(札幌)当時の流れが続いていることを当社に見ることが出来る。ローカルベンチャーのロールモデルを構築することで、開発拠点(LABO)を札幌に、市場・営業拠点を東京に置くことによって、東京で受注し、開発費を北海道に落とすモデルです。情報技術者の募集に苦労しないことを含め開発コストを安価に抑えるメリットがあります。地方創生とは「マチ・ヒト・シゴトづくり」と言われているが、まず仕事が無ないと若者は集まらないので、このモデルを他の地域に拡大していただきたい。

②プロダクト事業の拡大可能性

 受託開発事業からスタートし、中小企業の販売力の強化戦略とITリテラシー能力の欠如を支援するためのプロダクト事業(ECプラットフォームとクラウドサービス)を会社の成長の柱に考えている。特にEC・クーポン・予約・メディア等をパッケージしたアプリを無料配布し、レベニューシェアをし、投資を長期回収するというビジネスモデル(Growth Cloud)を2015年末から開始した。受託開発事業の忙しい割合には儲からない事業からの脱皮での新事業である。しかし、ECサイトには先行巨人企業があるなか、GCでは中小企業の初期投資が低く、システムの共通化でお客様間の相互連携を考えた普及を考えているが、先行投資のための財務力とシステムへの吸引力が肝になる。

③営業力強化の仕組を

 少ない営業でプロダクト事業のJカーブ立ち上げには、システム力だけではなく、このままでいいのではないかと考える中小企業の意識を変えるための呼び込みという泥臭い営業も不可欠です。中小企業に強くチャネルのある地域銀行と組んだセミナーを実施していますが、これを定例・多頻度に開催し、営業効率を高めないと、現在先行優位なポジションを道内でも維持が困難になります。

No.647  シェアリングテクノロジー株式会社(代表取締役 引字 圭祐氏、本社:名古屋)

 引字氏は、学生時代の2006年に入浴剤のネット販売で起業しましたが、それまでのコールセンター機能を持ったECサイトビジネスを手放し、個々人のライフサービス分野において、最適なシェリングエコノミーを追求するための事業に切り替えました。個人向けのサービスとサービスを提供する加盟店のマッチングサイトです。マッチングサイト構築には、事業売却資金を投入してきました。 個々人が必要としている200種類のサービスは、鍵や水回り、リフォーム始め、タウンページから探し、サービスメニューを拡大してきました。加盟店2,000社については、徹底してWeb検索で探し、電話で勧誘し、データベース化するという泥臭い作業を続けてきた結果です。反社と専門性については十分チェックし、加盟店の非稼働時間の有効活用に貢献し、現在に至っています。 近い将来、IPOに向けて準備を進めていますが、次の諸点を注意する必要があります。

①三方皆良しの事業継続のための絞込み

高齢社会・一億総活躍社会に向けて、個々人の必要なサービスとこれを支援する不稼働時間の多い小規模事業者への仕事の提供を、マッチングする三方皆良しの事業を長期に拡大・継続し、収益モデルとするには、何でもサービス屋からの絞込みが必要である。顧客ニーズ対応型のみの事業展開は、長期の増収増益は困難である。基盤づくりと拡大の量的経営から、採算も加味した収益の質的管理への転換を期待します。

②プラットフォーム「生活110番」のブランド浸透

○○110番という名称は誰でも使える。スピード力×実行力×創造力を武器に、現在全国加盟店2,000社の非稼働時間の有効活用を解消する仕組みを提供していますが、社長のパワー×機動力によってここまで来ており、10億円の壁を越えて、さらにもう一ケタの売上規模を拡大するブランド力を付けるには、参入障壁となるコア技術が不可欠です。

③信頼の収益モデルの構築

個人顧客は今すぐ必要とするスピードと低価格を重視するので、可能な限り近場から必要とするサービスを提供していただける良質の加盟店をマッチングしないと、顧客は逃げてしまいます。加盟店のドミナント化が顧客にとっては不可欠ですが、地域にとって優良加盟店は自ら地域限定のサービスを構築し、脱退する可能性があります。極めて労働集約的事業ですが、マッチング手数料だけではなく、加盟店の扱う資材供給先との連携等プラットフォーム事業として加盟するメリットを提供し続け、顧客との信頼を繋ぎ留める、手数料+αモデルを構築することが重要です。

2016年1月18日東京インデペンデンツクラブ 東京21cクラブにて