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「尾崎一法さんの教示」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年(株)インディペンデンツ設立、代表取締役就任。


アント・キャピタル・パートナーズ会長の尾崎一法さんが4月7日に亡くなられました。今回はインデペンデンツクラブで語っていただいた事をいくつかご紹介いたします。

-テクノロジーの重みが変わっている。
テクノロジーに対するイノベーションが10~20年にひとつだった時代から今は3~5年に1から2つのイノベーションが起きる時代。日本においては30年間に亘って成長し続けるような、例えばキヤノン、ソニー、京セラのような成長企業モデルの時代は二度と来ない。これからは世の中の社会現象をニーズとして捉えたビジネスモデルが主流になる。

-誰でも儲けられる時代は終わった。
自分の事業をどんどん変換できる企業、環境変化に対応できる企業が求められている。アジア、中国などの成長マーケットとは違って、日本ではエコノミクス全体が底上げする中での投資はできない。戦略なきガンバリ型経営手法だけでは事業環境の変化に対応できない。現場主任のような経営者が事業を伸ばせる。

-案件そのものよりも投資担当者を見ている。
マンダムが初めてヘアムースを出した時、ずらっと並んだ投資委員会のメンバーは誰もわからなかった。これはシャンプーか?あなたの頭では無理だよ、と。若い人は皮膚感覚でこれはいけますよと言ってくる。SNSに一度もアクセスしたことのない人に、これはすごいと言っても理解できない。レガシィ的な判断をしないか、自分は恐れている。

尾崎さんは自らがチャレンジの人でもあり、そして若い人にチャンスを与えてくれる人でもありました。

-これからは何を信じて投資すればよいですか?
信じちゃいけないですよ。価値観は変化する。変化に強い経営者に賭けるしかないですよ。

尾崎さん、ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。

<尾崎一法氏・略歴>
昭和24年長崎県に生まれる。昭和43年埼玉県立浦和高等学校卒業。昭和47年上智大学経済学部卒業後、石川島播磨重工業入社。昭和59年日本合同ファイナンス㈱(現・㈱ジャフコ)入社。平成11年ゼネラル・エレクトリック・インターナショナル・インク入社。GEキャピタル上級副社長。平成13年アントファクトリージャパン(現・アント・キャピタル・パートナーズ)入社、代表取締役社長(平成25年より代表取締役会長)。平成26年日本ベンチャーキャピタル協会会長。平成26年インデペンデンツクラブ理事。享年65歳。

※「THE INDEPENDENTS」2015年5月号 - p2より